欧州金融大手ドイツ銀行が株価低迷から抜け出せない。20日のフランクフルト市場でドイツ銀株は続落し、過去最安値を更新した。本格的な業績回復が見通せないなか、足元ではトランプ政権幹部との不適切な取引を巡る疑惑が報じられ、底入れの兆しが見えない。
20日のドイツ銀株は前週末比2.89%安の6.645ユーロで終えた。売りのきっかけとなったのは、スイス金融大手UBSの投資判断の引き下げだ。これまでの「中立」から「売り」に見直し、向こう1年間の目標株価も7.80ユーロから5.70ユーロに引き下げた。低金利下で経営環境の改善が見込めないことなどを判断引き下げの理由としている。
コンプライアンス(法令順守)を巡る疑惑も重荷だ。米紙ニューヨーク・タイムズは19日、「トランプ米大統領の娘婿であるクシュナー上級顧問の事業に関する複数の取引を巡り、2016年と17年にドイツ銀のマネーロンダリング(資金洗浄)の専門家が連邦当局への報告を薦めたが、同行幹部は受け入れなかった」と報じた。ドイツ銀、トランプ氏ともに報道を否定しているが、市場の懸念は完全には払拭されていないようだ。
4月にはコメルツ銀行との統合交渉が破談となり、独自の経営再建へのハードルは高まる。ドイツ銀の株価は過去半年で2割下落し、独DAX指数(9%高)とは対照的な値動きとなっている。世界全体で見ても今年に入り、株価が戻り基調となるなか、ドイツ銀株の独歩安の様相が強まっている。
〔日経QUICKニュース(NQN) 矢内純一〕
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