QUICKは12日、東京都内で「1800兆円を動かせ-胎動する『金融・新ビジネス』」と題するQUICK資産運用討論会を開いた。
■新しい個人投資家が参入、すその広がる
基調講演で楽天証券の楠雄治社長は「この5~10年でネットとリアルの逆転が顕著になった」と述べた。これまで金融投資の経験がなかった新しい個人投資家が同社のサービスを通し主体性を持って投資に参入するようになったと説明した。
KDDIアセットマネジメントの藤田隆社長は「運用を自然な行為にしたい」と述べた。KDDIのインターネット調査では資産運用でお金を増やしたいと考えている若年層が多く、長期分散投資に向いている個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」などを通して投資の裾野を広げたいと話した。
■10年後、投信残高300兆円に
続いて「日本の資産運用市場の未来予想」をテーマにパネル討論が行われた。
セゾン投信の中野晴啓社長は「ゼロサムを前提とした既存の金融業界の発想のままではなにも変わらない」と述べた。日本では投資に対する拒否反応が定着し、新規の資金を取り込む動きが本格化しない。金融業界全体の動きで投資に否定的な文化を変革し、「プラスサム」の構造にしていくことの重要性を指摘した。
楽天証券の楠社長は「高齢化社会の進展で相続や贈与が加速し、若い世代が資産形成に励む流れは従来以上に強まっていく」と述べた。積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)や毎月掛け金を拠出する個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」など制度的に担保された仕組みのなかで残高が増えていくとの見通しを示した。
資産運用サービスを手掛けるウェルスナビの柴山和久最高経営責任者(CEO)は「人生100年時代において豊かな老後のために資産運用が必要」と指摘し、資産運用のインフラを強化していく必要性を訴えた。
KDDIアセットの藤田社長は「10年後には投資信託の残高規模が300兆円になっている」と予想した。これまで資産運用に縁が無かった個人に「気付き」を与え、良いサービスや商品、運用を提供していくことの必要性を強調した。
個人の金融資産の重要性や在り方を議論する場として、資産運用研究所の設立にあわせて始めた資産運用討論会は7回目。金融機関の担当者ら約250人が参加した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕