5年9ヵ月ぶり1400ドル台、ETFに最大の流入
「質への逃避」から、金が買われている。21日の米国市場で、ニューヨーク商品取引所の金先物は続伸し、期近の6月限の清算値は3.3ドル高の1トロイオンス=1396.2ドル、中心限月の8月限の清算値は3.2ドル高の1400.1ドルとなった。NY金先物が中心限月の清算値で1400ドルを超えるのは2013年9月3日以来、5年9カ月半ぶりだ。この日は金を投資対象とする上場投資信託(ETF)、SPDRゴールド・シェアーズに大規模な資金が流入。QUICK FactSet Workstationによれば15億4899万ドルに上った。2008年7月14日の14億2347万ドルを上回り、2004年の設定来の最高を記録した。
米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が高止まりしているうえ、トランプ大統領がイランへの攻撃を一時承認した後に撤回したと20日にニューヨークタイムズ紙電子版が伝えたことで、中東の地政学リスクの高まりも意識された。
また米商務省が中国政府系のスパコン大手を安全保障などで懸念がある外国企業のリスト「エンティティー・リスト」に加えて事実上の禁輸措置を発動したのを受け、米中の貿易戦争懸念から株安が進み、ドルが売られる展開だった。21日のドル指数は大幅に3日続落し、0.55%安の96.09と3月21日以来、3カ月ぶりの安値圏まで下げた。金はドル建てのため、ドル安になると金が買われやすくなる逆相関の動きになる。(片平正二)
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