QUICKコメントチーム=片平正二、NQNニューヨーク=滝口朋史
11日の米国市場でダウ工業株30種平均は続伸し、227ドル88セント(0.85%)高の2万7088ドル8セントで終えた。前日に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が下院で議会証言を行った後の株高の流れが続いた。
ダウ平均が初めて2万6000ドル台で終えた2018年1月4日から372営業日と、1万9000ドル突破に要した483営業日以来の長さとなる大台突破だった。トランプ氏が米大統領選で勝利してから税制改革などへの期待から上げ足を速める場面があったが、中国との貿易摩擦の激化などを受け上昇の勢いは大幅に鈍った。
- 【ダウ平均の節目突破の歴史】
節目 節目突破日 終値 要した日数(営業日)
2万7000 2019年7月11日 2万7088ドル 372日
2万6000 18年1月17日 2万6115ドル 8日
2万5000 18年1月4日 2万5075ドル 23日
2万4000 17年11月30日 2万4272ドル 30日
2万3000 17年10月18日 2万3157ドル 54日
2万2000 17年8月2日 2万2016ドル 108日
2万1000 17年3月1日 2万1115ドル 24日
2万 17年1月25日 2万0068ドル 42日
1万9000 16年11月22日 1万9023ドル 483日
1万8000 14年12月23日 1万8024ドル 120日
1万7000 14年7月3日 1万7068ドル 153日
1万6000 13年11月21日 1万6009ドル 139日
1万5000 13年5月7日 1万5056ドル 1460日
1万4000 07年7月19日 1万4000ドル 59日
1万3000 07年4月25日 1万3089ドル 127日
1万2000 06年10月19日 1万2011ドル 1879日
1万1000 99年5月3日 1万1014ドル 24日
1万 99年3月29日 1万0006ドル 245日
(注)所要日数は節目突破の翌営業日から突破当日までの営業日数
パウエル議長は11日に上院銀行委員会で議会証言を行い、「2%の物価上昇率を大きく下回りたくない。後手に回らないようにするのが日本から得た教訓だ」と述べ、雇用とインフレ率の関係が崩れる中で早期利下げの可能性を改めて示唆した。CMEグループが提供するFedウォッチツールで7月FOMCでの50bp利下げ織り込み度は18.3%となり、前日(29.2%)から低下して1割台にとどまった。25bpの利上げ織り込み度は81.7%に上昇し、FF金利先物市場は7月FOMCでの25bp以上の利下げを100%織り込んだ状況が続いた。
残念ながら、貴重な「教訓」を与えたはずの日本株のほうは米株高の流れに乗れず、相変わらずパッとしない展開だ。
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