日経QUICKニュース(NQN)=張間正義
金価格の高騰は米国株の急落を予兆しているのか。金価格の上昇の裏で、こうした話題が市場の関心をさらっている。足元の米国株に対する金価格の比率は過去を振り返ると、米国株急落を予兆する水準にまで上昇している。今回も米国株急落に対する備えが必要かもしれない。※参考記事「ヘッジファンドの帝王レイ様も推奨、NY金先物が6年ぶり高値」(7/18)
注目したいのが、米ダウ工業株30種平均株価の値を、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場で割って算出する「ダウ・金倍率」だ。ダウ平均を「1口」買うのに、金が何トロイオンス必要かを示す。倍率が高いほど、米国株が金価格に対し割高といえる。
■米国株の金価格に対する割高度合いが高まっている
ダウ・金倍率は6月末時点で18.6倍。2018年9月の22.1倍を直近のピークとして低下傾向にあるものの、11年夏からの長期の上昇局面は終わっていない。水準自体は08年9月に発生したリーマン・ショックの前の07年末以来だ。
84年以降を振り返ると、ダウ・金倍率のピークアウトは米国株下落のシグナルとなっていた。87年や99年、07年は米国株が金価格に対し大幅に割高な水準まで買われ、比率が急上昇。その後、99年はIT(情報技術)バブルの崩壊、07年はサブプライムショックを発端とした金融危機により株価急落につながった。
今回も近いうちに米国株の急落は起きるのか。商品先物会社フジトミの斎藤和彦チーフアナリストは「米長期金利の動向がカギを握る」と指摘する。足元の株価と金価格がともに上昇しているのは、米国の長期金利を中心とした世界的な金利低下が主因のためだ。
今月10日の米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言などで、7月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げがほぼ確実視されている。ただ、その後についてはFRBと市場の温度差から、米金利が急上昇する可能性もある。その場合、米国株が大きな下落に見舞われるリスクは注意しておく必要があるだろう。
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