日経QUICKニュース(NQN)、QUICK編集チーム
米中貿易摩擦に起因する中国経済の減速などの影響が広がり、企業の景況感がなかなか改善しない。QUICKが11日発表した9月の企業短期経済観測調査(QUICK短観)で、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は製造業がプラス3と前月から4ポイント悪化し、2013年3月(マイナス1)以来6年半ぶりの低い水準となった。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いて算出する。製造業のうち、素材業種は前月比2ポイント改善のプラス4、加工業種は同8ポイント悪化のプラス1だった。
米中摩擦により、半導体関連や工作機械をはじめ、幅広い製品分野で生産活動・設備投資が冷えこんでいる。日韓問題も重なり、インバウンド需要の伸びに陰りが出てきたことも景況感悪化の一因になっているとみられる。上場企業の4~6月期決算は15%減益で、製造業に限ると45%減と苦戦が目立ったが、それに沿った内容といえる。
3カ月後の先行き見通しはプラス3と前月に比べて2ポイント悪化した。水準としては16年7月(プラス2)以来の低さだった。
一方、非製造業の業況判断DIはプラス27で前月と変わらず。消費増税が迫っている割には相対的に堅調に見える。キャッシュレスのポイント還元などの景気対策に加え、駆け込み需要の少なさが逆に「反動減も少なくて済みそう」との見方につながっている可能性もありそうだ。
QUICK短観は上場企業を対象に毎月実施している。今回の回答期間は8月28日~9月8日で、313社(金融機関を含む)が回答した。