QUICKが15日に発表した3月の「QUICK短期経済観測調査」(QUICK短観)によると、製造業の業況判断指数(DI)はプラス7と前月から3ポイント低下し、2カ月連続でプラス幅を縮めた。一方で非製造業のDIはプラス34と2カ月ぶりに上昇し、2023年6月以来の高水準を付けた。製造業と非製造業で明暗が分かれた。
QUICK短観は全国の証券取引所に上場する企業を対象に毎月、業況や事業環境について聞くアンケート調査だ。3月調査は1日から12日まで実施し、229社が回答した。
産業界は業種を問わず深刻な人手不足に悩んでいる。雇用人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた割合を引いた雇用人員判断DIは3月に全産業ベースでマイナス53となり、データをさかのぼれる08年以降で最低を記録した。さらに足元では人員だけでなく設備のひっ迫感も強まっている。全産業の生産・営業用設備判断DI(「過剰」-「不足」)はマイナス9と20年3月以来4年ぶりの低水準。なかでも製造業はマイナス12と、19年4月以来となる不足感の強さだった。人員と設備両面の制約が、製造業を中心に景況感の抑制要因になっている可能性がある。
日経平均押し上げ要因、「中国からの資金逃避」「円安」も上位に
日経平均株価は2月22日に34年ぶりに過去最高値を更新し、3月上旬には4万円の節目を突破した。旬の話題について聞く特別調査では、日本の株式相場を押し上げていると思う要因を2つまでの複数選択式で尋ねた。
「海外市場と比べた日本株の割安感」が42%で最も多く、「中国市場からの資金逃避」が33%で続いた。海外株との比較感から日本株が選ばれているとの見立てだ。次いで「円安」が29%、「国内企業の好業績」が20%だった。「国内企業のコーポレートガバナンス改善やPBR向上の取り組み」(15%)を評価する声もあった。
24年の日経平均の最高値の予想も聞いた。回答の単純平均は4万1559円63銭、中央値は4万2000円だった。調査期間中の日経平均はおおむね3万9000~4万円程度で推移しており、そこからさらに上値余地があるとみる企業が多かった。最も高い予想は4万5000円だった。
(QUICK Money World 中田真裕)