FRBの利上げ休止や中国の景気対策など好感
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は19年年初の講演で、19年に想定していた利上げの一時休止を示唆したことに続き、米連邦公開市場委員会(FOMC、1月29~30日)後の記者会見では、利上げと資産縮小を慎重に進めるとした。中国政府も景気の失速を防ぐべく、金融緩和、大規模減税、公共投資の拡大などの対策を強化しつつある。また、米中の通商交渉も、妥協を模索する動きがみられる。これらを好感し、18年の年末にかけて急落した主要国の株式相場は19年に入り、回復傾向にある。18年10月以降の大幅な下落で、世界経済および企業業績の減速を一旦は織り込んだとも思えるが、今後連続する国内外の重要なイベントの結果によっては、再び売りが優勢になる展開も考慮に入れたい。
年央までの日経平均は1万9000~2万3000円
QUICKが2月1日発表分までを集計した東証1部の3月本決算企業(除く金融)の18年度3Q累計業績は、世界経済の減速、とりわけ中国の景気減速の鮮明化などを受けて、3Q3カ月の落ち込みが顕著となっている。
企業価値研究所では、19年年央までの日経平均株価の予想レンジを、1万9000円から2万3000円程度としており、今回もこの見通しを継続することとする。毎回言及するように、国内主要企業は長きにわたったデフレの期間に、収益力、財務基盤を着実に強化しており、M&A(合併・買収)を含む新規投融資、株主還元強化などの余力を十分に持つ企業は多い。個別に、厳しい経営環境下で、好業績が継続する企業群、各種の長期的な経営リスク低減に注力する企業群に改めて注目したい。
執筆:QUICK企業価値研究所 チーフストラテジスト 堀内敏成
(提供:QUICK企業価値研究所)