さらなる緩和的な金融政策、景気対策を催促する相場展開も
米連邦準備理事会(FRB)の政策転換、米中通商交渉の進展などを背景に、主要国の株式相場は2018年末を底として回復傾向が続いてきたが、ここへ来て上昇に一服感が出てきた。日柄的にみて調整局面に入ったと考えられるが、主要国の景気減速も改めて意識され、長期金利が下落傾向にある。
株式相場は目先は調整色を強めつつ、世界経済に対し影響が大きい米国および中国の景気動向、内外主要企業の業績動向に神経を尖らす展開になりそうだ。景気が一段と減速するようであれば、さらに緩和的な金融政策、拡張的な財政政策を催促する動きとなりそうだ。一方、これまでの景気対策の効果で中国の景気に底入れの兆しが見えたり、米国の堅調な景気が持続する気配がうかがえれたりすれば、これを好感する動きになるだろう。
電子部品大手や5G関連投資の動向に注目
企業価値研究所では、19年年央までの日経平均株価の予想レンジを、1万9000~2万3000円程度としており、今回もこの見通しを継続することとする。既述の通り、当面は中国と米国の景気動向が最大の注目点といえそうだ。
中国の景気底入れが早まるようであれば、資本財や電子部品などの需要動向にも好影響が見込まれる。村田製作所、太陽誘電など電子部品大手の一角は好業績が見込まれており、5G(第5世代移動通信システム)関連などの設備投資拡大への期待も高まっている。引き続き、M&Aを含む新規投融資、株主還元強化などの余力を十分に持つ企業、好業績が継続する企業群、各種の長期的な経営リスク低減に注力する企業に注目したい。
執筆:QUICK企業価値研究所 チーフストラテジスト 堀内敏成
(提供:QUICK企業価値研究所)