世界が注目する米国の中間選挙が11月に迫ってきた。QUICKが10月1日にまとめた9月の月次調査<債券>では、市場関係者の多くが、上院では「共和党辛勝」、下院では「民主党辛勝」を予測した。上下両院の多数派が異なる「ねじれ」状態になれば、予算編成や減税など重要法案の可決が難しくなり、米経済にも悪影響が出かねない。
※QUICKは株式や債券、外為市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として公表。ヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。
今回の<債券>の調査期間は9月25~27日で、135人が回答した。
上院・下院の選挙結果をどのように予想するか聞いたところ、上院は「共和党辛勝」との回答が81%と大半を占めた。一方、下院で最も多かったのは「民主党辛勝」で53%、次に「共和党辛勝」が37%だった。全体としては、上院で共和党、下院で民主党がそれぞれ勝利するものの、そう大差はつかないと見る向きが多い。
「ねじれ」状態になると、さらに注目されるのが、ロシアゲートなど様々な疑惑が指摘されるトランプ米大統領の勢いだ。「弾劾訴追されないが、求心力は低下する」という回答が51%と過半数を占め、次いで「弾劾訴追されず、求心力も低下しない」が32%となった。「トランプ政権は確かに問題山積みだがそれは以前から分かっていたことであり、ここまで政権がもっているということは今後も急に体勢が崩れるとまでは行かないのではないか(証券会社)」との声がある。
トランプ大統領の求心力が衰えて多少おとなしくなるのか否かで、米国の通商・外交政策も大きく変わる可能性がある。
激化する米中貿易摩擦が今後1~2年でどのように推移するか、との問いには、「対立が膠着状態になる」(56%)が最多を占め、次いで「さらにエスカレートし、世界経済の成長が鈍化する」(24%)となった。「妥協が進み、世界経済は堅調な成長を維持する」は12%のみ。残念ながら、良い方向に向かうという期待はあまり持てそうにないようだ。「中国に一方的譲歩を強いる現在の米国の交渉スタンスの下で、早期妥結の可能性は薄れている」(銀行)という。
調査では、中間選挙の結果と米中貿易摩擦を踏まえた2019年の経済への影響も聞いた。米国、世界、日本いずれも、経済成長率が「押し下げられる」との回答が半数を超えた。市場の見立て通りに米議会でねじれが生じれば、「減税効果が薄れる2019年後半以降に追加の景気刺激策を実施することが難しくなる」(信託銀行)との懸念も出ている。また米国の物価上昇率については「押し上げられる」(56%)との回答が最も多かった。