中国は2018年の国内総生産(GDP)成長率が28年ぶりの低い伸びになるなど、景気の減速が表面化している。QUICKが18日にまとめた2月のQUICK短期経済観測調査(QUICK短観)によると、製造業のほうが非製造業に比べて、売り上げ減少などのダメージが強いという状況が浮き彫りになった。
「中国景気の減速でどのようなマイナスの影響がありましたか」との問いに対し、製造業の回答企業117社のうち42%が「何らかのマイナス影響がある」と回答。なかでも化学や鉄鋼などの素材業種では、過半数の企業が影響ありと答えた。
製造業が感じている影響の多くは、中国向けや現地での売上高や受注の減少だ。「出荷量の低下など中国の景気減速の影響が少しずつ出ている」などの声がある。実際、1月中下旬から2月上旬にかけて発表された上場企業の決算では、東レや旭化成、日本電産やファナックなどといった大手が相次いで2019年3月期の業績見通しを下方修正した。
一方、非製造業のほうは、回答企業171社のうち「影響なし」の回答の割合が84%にのぼった。ただインバウンド関連の需要の減少は数字に表れ始めており、百貨店大手では1月、訪日外国人による免税売上高が前年同月比マイナスになった。今後さらに中国の消費者や旅行者の財布のひもが固くなる可能性もある。
企業の景況感を示す業況判断指数(DI)からも業種による中国景気への「感応度」の違いが見て取れる。景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いて算出した業況判断DIは、製造業では前月より5ポイント悪化のプラス11で、5カ月連続で悪化。非製造業DIは前月比2ポイント悪化のプラス34で、製造業と比べて直近の水準からの下げ幅は小さかった。
2月のQUICK短観では350社の上場企業が回答した。調査期間は2月1日~13日。
※QUICK端末では、QUICK短観の業況判断DI、自社株判断DI、円相場判断DIなど各種ヒストリカルデータをダウンロードできます。