QUICKが7月16日に発表した7月の「QUICK短期経済観測調査」によると、国内上場企業の約7割が人材確保のための取り組みとして賃上げを検討・実施している。人手不足解消のために特に取り組んでいることや検討していることについて3つまでの選択式で聞いたところ、「賃金の引き上げ」と回答した企業が69%を占めた。
上位には「採用人数の増加など採用活動の強化」(35%)、「スキルアップやエンゲージメント向上につながる研修・育成制度」(33%)などの回答が続いた。人材確保ではなく、「IT活用による業務効率化」(32%)によって人手不足に対応しようとの動きもみられた。
7月調査では、自社の雇用人員について回答した企業207社のうち半数以上にあたる116社が現状の人員が「不足」と回答(「過剰」は4社)するなど、企業の人手不足は深刻化している。「不足」と答えた企業の割合から「過剰」と答えた割合を引いて算出する「雇用人員判断DI」(全産業)はマイナス54と、調査開始以来最低を記録した。
TOPIX改革、企業価値向上の後押しは
日本取引所グループ(JPX)は6月、TOPIXの新たな改革案を公表した。対象市場をスタンダード・グロース市場に拡大する一方、採用銘柄の時価総額の基準を厳しくし、2028年には現在より4割強少ない1200銘柄ほどに絞り込む。この改革案を受けた取り組みについて聞いたところ、「TOPIXに採用されているかどうかを経営上重視していない」との回答が33%だった。
「現在TOPIXの採用銘柄なので、これを継続できるよう企業価値の向上に取り組む」は28%、「現在TOPIXの採用銘柄ではないが、新たに選定されることを目指して企業価値の向上に取り組む」は18%だった。TOPIX改革を受けて企業価値向上に取り組むとした企業は半数に届かず、「わからない」との回答も19%あった。
製造業DIは4カ月ぶり悪化、全産業は5年ぶり高水準維持
製造業の業況判断指数(DI)は前月調査から1ポイント悪化のプラス20だった。悪化は4カ月ぶり。全産業DIは前月比横ばいのプラス28で、約5年ぶりの高水準を維持した。