東京証券取引所による市場区分の再編に上場企業は賛成か反対か。QUICKが16日まとめた4月のQUICK短期経済観測調査(QUICK短観)によると、「賛成」と答えた企業が全体の39%と、「反対」の13%を上回った。ただ、時価総額の大きくない企業では反対の方が多かった。
東証は2100社超の1部上場企業を絞り込む方向で議論を進めており、一時期「1部維持に必要な時価総額は現行の20億円から250億円に引き上げられる可能性がある」などと報じられたこともある。調査の集計対象を1部企業に限定すると、賛成が37%で反対は17%。さらに1部上場で時価総額が250億円未満の企業に絞ると、賛成は24%にとどまり、反対が35%と逆転する。
一方、1部以外に上場する企業では賛成が43%、反対は6%。「どちらでもない」との回答が半数を超えた。
賛成する企業からは、上場企業が多すぎるという指摘が多く挙がった。「(昇格と降格の基準が甘く)ガバナンス意識の低い企業の存在を許してしまっている」(サービス業)、「これを機会に上場廃止する企業も出てくればいい」(化学品メーカー)と厳しい意見があった。
反対の理由として目立ったのが、1部からの「降格」で企業イメージが悪くなるというもの。指数連動型のパッシブ運用の投資先から外れ、「株価下落リスクが高まる」(自動車関連)ことを危惧する企業もあった。「時価総額だけでラインを引くのはナンセンス」(建材関連)、「影響力のある企業のプレミアム市場の新設なら納得できる」(環境関連)との声もあった。
グローバルな投資家の参加を想定する企業向け市場では、四半期決算の英文開示義務付けも検討されている。これに関連し、英文開示の状況を聞いてみた。「英文開示の予定はない」という企業が全体の39%に上った。「社内体制が追いつかない」「負担になる」との理由が目立った。英文開示が必須になるなら「東証にこだわる必要がなく、海外マーケットのほうが有利」(通信機器関連)との指摘もあった。
4月のQUICK短観の調査期間は2~11日。
(QUICKナレッジ開発本部)
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