金融市場のプロたちは「老後資金2000万円不足」問題の混乱をどう見ているのか。QUICKは8日に発表した株式月次調査(135人)で専門家の意見を聞いた。1日公表の債券月次調査(131人)の結果と併せてまとめてみた。結果は一目瞭然。改めて詳しく解説する必要もないだろう。
ある投信投資顧問は「年金問題をタブー化し、政党や選挙にとらわれない議論を進める機会を政権批判に転化した報道機関の責任は重大」と指摘する。「平均2000万円という数字には意味がない。それを意気込んで取り上げたメディアの質を嘆く」との声も。また報告書を受け取らないなど政府の初動対応がまずすぎたことが、マスコミの格好のネタになったにすぎない面もあるという。
その他の回答には「報告書をまとめたメンバーを見ると投信関係者が多い。本来は金融商品全体を見て中立的に報告すべき内容が運用側からのみ語られており、一般的に考えても金融庁の報告書としては違和感を覚える」、「報道があって以降、積み立て投資口座が増えているという。金融機関がどんなに投資啓もう活動をしてきても注目が高まらなかったが、この騒動で一気に注目が集まった。積み立て投資に関する、ものすごい宣伝効果だったと、後々に語られるだろう」などもあった。(ナレッジ開発本部)