QUICKコメントチーム=片平正二、イラスト=たださやか
25日にS&P500指数は0.40%高の3022.55で終え、7月に付けた史上最高値(3025.86)にあと0.1%と迫った。ザラ場では史上最高値を上回る場面があり、決算シーズンが本格化する中、米中の貿易戦争懸念も和らいだことで強い流れが続いている。今週は29~30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、CMEグループのFedウォッチツールで25bp利下げが93%織り込まれている。利下げは想定内として声明文に変化があるのかどうかが関心を持たれている。
ゴールドマン・サックスは24日付のリポートで「当社は次回FOMCで今年3回目かつ、最後となる25bpの利下げを行うとみている。当社はややタカ派的に声明文の文言が変更されるとみており、『景気拡大を維持するために適切に行動する』(act as appropriate to sustain the expansion)との文言が『責務達成を図るために必要に応じて行動する』(will act as needed to promote its objectives)に入れ替えられると予想する」と指摘した。今回のサイクル半ばので調整(mid-cycle adjustment)という利下げ局面が1995~96年、1998年に保険的な利下げが行われた時と同じく合計75bpの利下げにとどまると見込み、声明文も追加利下げを示唆しないものになるという見解だ。その場合、市場はタカ派的と受け止める恐れがありそう。
その反面、JPモルガンは22日付のリポートで「次会FOMCでは、市場の期待に沿って25bpの利下げが行われるだろう。会合後の声明は、7月と9月の声明よりややタカ派的なものになると思われるが、おそらく『必要に応じて拡大を維持し』との声明が継続され、12月以降の追加緩和に向けてドアが部分的に開かれたままになると予想される」と指摘した。あくまで追加利下げに含みを残す文言になるとの予想で、これなら市場もタカ派的とは受け止めない可能性がありそうだ。
さらに一方で、モルガン・スタンレーは23日付のリポートで「当社は25bpの利下げを実施すると予想しており、その後は小休止するとみる。ただし、そのシグナルは発しないだろう」と指摘した。FOMCメンバーの間で期待インフレなどが低いことを理由に、追加利下げに関して意見が二分していることを踏まえたもの。リポートでは「10月を過ぎれば政策発動に一息入れるのに妥当な時期になるとみられ、パウエル議長は金融環境が大幅に引き締められた状態にならない限り、小休止のシグナルを発することはないと考える」としつつ、「会合後の声明と記者会見では必要ならば発動する用意があるとメッセージを引き続き示すと考える」とし、政策の自由度を残すとみていた。声明文で大きな変更を加えず、データディペンデントの姿勢を強めるなら市場は好反応を示すかも知れない。
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