日経QUICKニュース(NQN)、QUICK編集チーム
QUICKが11日発表した11月の株式月次調査(5~7日実施)によると、国の安全上問題がある場合に海外投資家に事前届け出を義務付ける出資比率を「10%」から「1%」に引き下げる外為法改正について「1%は厳しすぎるが、改正は必要だ」との回答が最多の40%だった。「国の安全保障上、やむを得ない改正だ」の33%を含め、7割超が改正が必要との認識を示した。「必要のない法改正だ」との回答は25%だった。
全での上場企業を対象に、事前届け出が「必須」「免除可」「不要」の3つに分類し、リストが公表される見込みだ。外資規制で先行する欧州諸国に足並みを揃え、中国包囲網を急ぎたい米国への配慮もにじむ法改正だが、アベノミクスに矛盾し、ガバナンス後退を招きかねないとして警戒する国内外の市場関係者は少なくない。
回答者の属性ごとに見ると、投資家の中で「やむを得ない」と答えたのは27%にとどまった一方で証券会社は38%だった。「改正の必要なし」のほうでは投資家31%に対して証券会社は20%。やはりバイサイドのほうがよりネガティブな見方をしていることが分かる。
懸念される副作用については「アクティビスト(物言う株主)封じになり市場の規律が効かなくなる」との回答が最も多い34%で、「流動性の低下など通常取引に影響が出る」(26%)、「ソブリンファンドなどの資金が引き揚げられる」(23%)、「(機関投資家向けの行動指針である)スチュワードシップ活動に支障が出る」(7%)が続いた。特に影響はないとする回答もあった。
自由コメントでは「事前届け出の免除の範囲などについて、もっと分かりやすい説明が必要だ」「資本所有者で区別するのではなく、業務内容を業法などで制御すればよい」に加え、「日銀のETF買いで相場を歪めているのに、このタイミングで海外勢を遠ざけるような施策を打てば株式市場の一層の衰退を招く可能性がある」といった指摘があった。「法改正後も、良いアクティビストは生き残る」との声も出ている。
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