QUICKコメントチーム=丹下智博
2日に発表された11月の米ISM製造業景況感指数は48.1とQUICK FactSet Workstationによる市場予想(49.5)を下回り、10月から0.2ポイント低下した。2カ月ぶりの前月比マイナスで、製造業景気の拡大・縮小の境目である50を4カ月連続で下回った(棒グラフ緑)。11月21日に発表された米フィラデルフィア連銀製造業景況指数が市場予想を上回るなど米製造業に対する楽観的な見方が高まっていたことから、ISM指数の弱さはネガティブ・サプライズとなり米景気懸念が再燃した。
先行して発表された類似の製造業景況指数を構成項目をベースにISM指数に換算するといずれの指数も減速を示している(折れ線グラフ)。米中協議の進展期待から、マーケットが浮かれ過ぎた面があったのかもしれない。
一方、アドビ・アナリティクスのまとめによれば、11月28日の感謝祭翌日の29日のブラックフライデーのネット売上高は前年比19.6%増の74億ドルに達し、ブラックフライデーとして過去最高を更新したいう。個人消費は絶好調ともいえる状態が続いており、「消高・製低」の構図が鮮明だ。
トランプ大統領が突如、南米産の鉄鋼などへの追加関税発動を打ち出したり、連邦準備理事会(FRB)に執拗に利下げを求めたりしているのも、来年の大統領選に向けてそれだけ景気減速を気にしている、ということだろう。
※QUICK Market Eyes®はトレーダーやディーラー、運用担当者の皆さまに向けたQUICK独自のマーケット・コメントサービスです。日米の個別株から債券を含めた先物市場まで幅広くカバー。証券会社や機関投資家など運用・調査の現場への取材を通じて得た専門性の高い金融情報を提供します。