QUICK編集チーム
2019年も残すところ2週間あまり。経済、金融市場の10大(重大)ニュースをQUICKユーザーの皆さんに選んでもらった。調査は6~12日。編集部が作成した50項目の候補の中から10項目まで選択する方式で、回答者は222人だった。
◆米国経済は強かった
Photo by Joe Raedle/Getty Images
「日本のニュースのランキングでもナンバーワンになった! すべて自分の経済政策のおかげだ! おめでとう、アメリカ!」……。もしもトランプ大統領がこの表を目にしたら、すぐさま自画自賛のツイッターを連発するに違いない。
対中通商交渉の進展をめぐる発言や情報に振り回され続けた株式市場だが、ダウ平均株価は年初から20%、S&P500種株価指数は25%、ナスダック総合指数は30%も上昇した。堅調な雇用と個人消費が支えとなり、米国経済の底力を見せつけた格好だ。
加えて株高に絶大な効果を発揮したのが米の利下げ路線への転換だ。制裁関税やファーウェイ問題などで米中摩擦を先鋭化させ、実体経済や市場心理に影が差すと、米連邦準備理事会(FRB)に対して執拗に利下げ圧力をかけた。あれもこれも来年の大統領選のため。気づけば「トランプの、トランプによる、トランプのための2019年」であった。
参考までに、大統領選について聞いた最後の質問では、「トランプ再選」を予想する人が85%に上った。
◆香港問題は長期戦に
Photo by Anthony Kwan/Getty Images
6月の100万人デモから半年たっても、香港の抗議活動は収まる気配がない。普通選挙の導入など「五大要求」を掲げるデモ参加者と、それを受け入れない中国・香港の政府の対立の構図はいつまで続くのか。
デモ隊と警察の衝突激化で観光客が大幅に減少し、民間企業の施設も被害を受けるなど経済面のダメージは大きい。7~9月期の実質GDP成長率はリーマン・ショック後の09年7~9月期以来10年ぶりとなるマイナスに沈んだ。財政収支も2003年度以来の赤字になる見込みという。ハンセン指数はひとまず小康を保っているように見えるが、4月の高値と比べると1割ほど低い水準だ。アジアの金融センターとしての地盤沈下を心配する声も出ている。
◆そして令和元年のニッポン
Photo by Kaz Photography/Getty Images
各国のラグビーファンをはじめとする訪日外国人客の増加で交通機関も飲食店も大にぎわい。W杯の経済効果は事前に想定された4300億円を上回ったとの見方がある。桜の戦士の歴史的快挙で盛り上がった日本列島だが、ちょうど同じころ超大型台風にも見舞われ、新幹線が水没するなど過去の常識や想定を超えた被害が発生した。
政府はインフラ強靭化などを盛り込んだ大型の経済対策を発表。消費増税にあわせて導入したキャッシュレスのポイント還元の予算も上積みされた。日本の財政運営の前途は厳しい。同様に将来生活への不安も広がる。老後資金も足りないかもしれないが、老後資金についての正しい議論はもっと足りない。山積みの課題が2020年へと持ち越される。