QUICK Market Eyes=片平正二
気が付けば3300台のS&P500指数、9000台に乗せたナスダック総合指数、2万9000ドルを超え3万ドルさえ視野に入り始めたダウ平均株価だけではない。米国株の上昇力を示す、もう一つの「台替わり予備軍」がある。
■SOXが試す2000の節目、ファーウェイ効果も
22日の米国市場でフィラデルフィア半導体指数(SOX)が反発し、0.79%高の1930.234で終えた。一時は1950.619まで上昇し、2000の大台を試す流れとなっている。この日に日本経済新聞電子版が「中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が米政府による制裁強化に備え、第5世代移動通信システム(5G)の通信網などに使う機器の部品在庫を積み増していることが22日分かった」と報じた。米中の貿易戦争懸念が後退する一方、アップルの5G対応iPhoneの発売などを控え、半導体関連が強含む流れが続いている。
■5G関連の需要増などで来期のEPS上昇
QUICKの「期間騰落率計算」で2019年1月2日から20年1月22日までの昨年来の騰落状況をみると、最も上昇率が高かったのはアドバンスト・マイクロ・デバイスの173%。これにシーラス・ロジックの142%、テラダインの131%などと続いている。SOX採用30銘柄が全て上昇し、株価が2倍になったのは前出の3銘柄に加えてラムリサーチの計4銘柄だった。
一方、QUICK FactSet WorkstationでSOX指数とSOXの1株当たり利益(EPS)の推移を見ると、9月以降は今期EPSが低下する一方、SOXは右肩上がりで業績とは逆相関の流れにあった。ただ来期EPSは米中の貿易戦争懸念が後退するとの見方で11月以降にじり高基調にある。足元のSOX高は、5G関連の需要増などを見越した先々の業績改善期待を織り込むものと言えそうだ。
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