日経QUICKニュース(NQN)=矢内純一、写真=Tomohiro Ohsumi/Getty Images
新型肺炎の感染拡大懸念による株安・債券高の流れが続いている。QUICKが3日午前に公表した1月の月次調査<債券>で相場の見通しを聞いたところ、日経平均株価の下値を2万2000円と予想する関係者が最も多かった。半面、米国の金融緩和観測が株価を支えるとみる声も根強く、悲観一辺倒というわけではない。債券相場にとってはどちらも上昇要因ということになるので、しばらく株の強弱感は定まりにくいのかもしれない。
■長期金利のボトムはマイナス0.1%を予想
最も多かった回答 | (1月31日終値) | |
日経平均株価 | 2万2000円 | (2万3205円) |
長期金利<日本> | -0.100% | (-0.065%) |
ダウ工業株30種平均 | 2万8000ドル | (2万8256ドル) |
長期金利<米国> | 1.50% | (1.50%) |
調査期間は1月28~30日で、銀行や証券会社などの債券関係者131人から回答を得た。新型肺炎の感染拡大による日経平均の下値メドを聞く問いについて、最も多かった答えは2万2000円。最も高い水準でも2万3000円と前週末終値(2万3205円)をいずれも下回った。最も低い水準では1万5000円の予想もあった。
「春節の休みが終了しても操業開始がいつかは不透明で企業業績への影響が懸念される」(証券会社)、「物流や輸出入に影響が波及した場合、米中貿易摩擦に伴う追加関税同様かそれ以上の影響が出る可能性も否定できない」(銀行)――。新型肺炎の収束の見通しはまだたっておらず、悪材料とみなされている。
■早くも「FRBプット」意識、米株は底堅い展開か
ただ事はそう単純ではない。ダウ工業株30種平均の下値メドは2万8000ドルと、前週末終値(2万8256ドル)に近い水準にとどまった。「米連邦準備理事会(FRB)は何か懸念事項があれば、追加緩和をしてくるという暗黙の認識があり、それは昨年の保険的・予防的緩和で確認された感がある」(証券会社)。FRBの利下げもしくは緩和政策の長期化が相場を支え、世界的に大幅なリスク資産離れが進むとの声は少ない。
シカゴ・マーカンタイル取引所の「Fedウオッチ」によると、6月までの利下げを織り込む確率は直近で6割程度と、1カ月前の2割弱から上昇している。新型肺炎の感染拡大を受け、金融・資本市場は早くも「FRBプット」を意識しているようだ。
株安は相対的に安全な債券にはプラスで、米国を筆頭とする中央銀行の緩和姿勢も教科書的な債券高の材料となる。日本では日銀がかなりの期間、積極的な緩和のスタンスを保つ見込みだ。どう転んでも債券相場が下がらないなら理由はどちらでもいいというのが投資家の本音なのかもしれない。
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