QUICK Market Eyes=弓ちあき
決算発表が本格化する中、業績予想を上方修正する企業には素直に買われる銘柄が目立ち、下方修正を発表する企業には売りが膨らむなど、選別が進みつつある。ただ新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大にまだ歯止めがかからない中で2020年度業績については一段と視界が不明瞭になってきた感もある。
年明け以降、相対的に優勢を保っていた外需企業に対し、内需企業の優位が足元では目立ってきていることも、中国経済の先行き懸念を反映している可能性がある(図1)。
■2月下旬の「バッテリージャパン」に注目
とはいえ内需株も盤石とはいえない。東京オリンピック・パラリンピックの開催時期まで新型肺炎の影響が続きかねない状況下、防疫関連に続く次の短期物色のテーマを先取りし、幕間つなぎとする戦略も検討しておきたい。その中で注目されるのが2月26日~28日に東京で開催予定の国際見本市「二次電池展(バッテリージャパン)」だ。
環境意識の高まりに加え、ウエアラブルやモバイル機器の多種化や高機能化が進んでいる上、車載用でも2次電池の重要性が増しており、今年も多くの集客を集めそうだ。また、今年はノーベル賞受賞者である旭化成(3407)の吉野彰名誉フェローが27日に基調講演する予定となっている。
■大容量化、長寿命化、高速充電の期待に応えるのは…
個別テーマでは今年も注目を集めそうなのが電池の大容量化や長寿命化、高速充電も可能になると目される「全固体電池」だ。製品化された全固体電池や全固体電池開発・生産向けの製品が展示される予定となっており、製品ではFDK(6955、2部)、固体電解質では日本触媒(4114)、測定や分析関連の機器では東陽テクニカ(8151)やレーザーテック(6920)、三菱電機(6503)傘下のメルコセミコンダクタエンジニアリング、量産化技術・製造機器ではではタカトリ(6338)などが出展予定のもよう。
全固体電池を巡っては太陽誘電(6976)や村田製作所(6981)がMLCC(積層セラミックコンデンサー)などの技術を活用してウエアラブル用途などで量産にメドをつけつつあるほか、TDK(6762)もあらゆるモノがネットにつながるIoT機器のセンサー向けに全固体電池を開発した。日立造船(7004)なども最終的には車載用を視野に参入予定だ。
特に将来性で注目を集めるのが車載用途だ。車載向け全固体電池の開発を委託事業として担う、技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC、大阪府池田市)は吉野氏が理事長を務め、組合員として30法人(うち上場企業28社、19年12月時点)が参加する(図2)。
同委託事業には日産自動車(7201)、トヨタ自動車(7203)や本田技研工業(7267)、ヤマハ発動機(7272)の自動車メーカーも参加し、車載向けの全固体電池の標準の形を22年に完成させる計画だ。
ESG(環境・社会・企業統治)が投資の世界で存在感を増す中、電気自動車(EV)への関心は高まっている。米国ではテスラ(TSLA)の株価が年初から急騰した場面があった。20年は車載用を中心とした2次電池相場の到来に向け備えを強化しておきたい。
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