QUICK資産運用研究所=大野三郎、小松めぐみ
QUICK資産運用研究所が2019年12月、投資信託の運用会社を対象に実施した「投信運用会社アンケート」。2回目は環境・社会・企業統治を重視する「ESG投資」に関する調査結果をまとめた。
■既存ファンドにもESGの観点
商品戦略におけるESG投資の位置づけを聞いた質問では、「既存ファンドの組み入れ銘柄選択にもESGの観点を取り入れる」が28社で最も多く、「ESG投資を前面に打ち出したファンドを品揃えのひとつとして用意する」と答えた会社は20社にのぼった。一方、「扱う予定はない」とした会社は4社にとどまった。
「検討中」と回答した8社はすべて国内系の運用会社。既に検討の段階が終わり、どのように取り組むべきかの方針が固まっているとみられる外資系運用会社との差が明確となった。「検討中」と「扱う予定がない」を選んだ運用会社にその理由を聞くと、ESGの評価とリターンの相関がはっきりしないことなどから慎重な姿勢を示した。ただ、ESGに否定的な見解を示す会社はなかった。
■ESGの評価が企業の成長につながるとの見方多く
ESG投資の位置付けを前向きにとらえる会社の多くは、「ESGでの評価が高い企業の方が長期的な成長が可能」と考えていることがわかった。また、ESG投資を重視する投資家の増加も運用会社がESG投資を進める一因となっているようだ。
ESGは今後注力したい商品特性でもトップで、これからESG関連の投資信託の新規設定が活発化することが予想される。昨今の気象変動も日本におけるESGへの関心の高まりに大きく影響しているとみられる。ただ、本来のESGの観点に立った活動は、クライシスを回避するために必要といったようなものではなく、日常で当然のごとく行われるべきものであろう。ESG関連と銘打ったテーマ型ファンドが乱発され、一時的なブームに終わってしまうことのないよう、大事に育てたい流れである。
<バックナンバー>
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◇アンケート調査概要
調査期間:2019年12月9~25日、調査対象:投資信託運用会社、回答数:48社、調査方法:郵送発送インターネット回収、調査会社:日経リサーチ
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