QUICK資産運用研究所 大野三郎、小松めぐみ
QUICK資産運用研究所が2019年12月、投資信託の運用会社を対象に実施した「投信運用会社アンケート」。最終回となる4回目は投資信託のコスト、信託報酬の見通しについて深掘りする。
■アクティブ型「低下が続く」が6割強
今後の公募投信における信託報酬の見通しについて聞いたところ、インデックス型は36社(75.0%)、アクティブ型では32社(66.7%)が「低下が続く」と回答した。
積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の開始以降、インデックスファンドの信託報酬引き下げが相次ぐが、今後も引き下げが続く可能性が高い。加えて、運用会社の多くはアクティブファンドにもこの波が押し寄せるとみているようだ。
■信託報酬を引き下げるには
最後に、投信の信託報酬を引き下げるために、運用会社はどのような処理をするのか、改めて確認しておきたい。
インデックスファンドは、規模の追求や運用プロセスの効率化によるコスト低下が信託報酬引き下げへの主たる適応手段となる。保有株式を貸株に回すなどによって得る副収入を信託報酬引き下げの原資とするといった対応もある。また、ベンチマーク・インデックスの使用ライセンス料の低減も重要になる。
一方、アクティブファンドで信託報酬引き下げの原資を捻出することは容易ではない。情報収集や調査、分析、意思決定、取引執行などのプロセスが多く、各プロセスの遂行に必要となる人件費、設備費を含めたコストが大きい。信託報酬を引き下げるには、運用に関わるプロセスの簡略化・効率化によりコストを削減することが必要となり、運用力の低下をまねく恐れがある。
行き過ぎた信託報酬引き下げ競争を終わらせるためには、「受益者が納得して信託報酬を払う」状況を作り出すことが重要だ。そのためには、信託報酬に見合った運用成果を出すだけでなく、受益者が納得する情報提供やアフターフォローを行うことなどの手立てが必要となろう。
=おわり
<バックナンバー>
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◇アンケート調査概要
調査期間:2019年12月9~25日、調査対象:投資信託運用会社、回答数:48社、調査方法:郵送発送インターネット回収、調査会社:日経リサーチ
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