QUICK資産運用研究所=小松めぐみ
信託報酬0%の投資信託が誕生し、指数に連動するインデックスファンドの競争は激しさを増している。運用各社が低コスト化や品ぞろえなどでしのぎを削るなか、農林中金全共連アセットマネジメント(NZAM=エヌザム)は2020年2月、新たなインデックスファンドのシリーズを立ち上げた。これまで私募で提供してきたファンドを、公募投信として証券会社のサイト経由で販売し、顧客層の拡大を狙う。
後発組として参入する背景や今後の方針など、運用各社のインデックスファンドシリーズを解説する「インデックスファンドNAVI」で取り上げる。
■プロ向け私募投信で培ったノウハウを個人にも
NZAMは機関投資家向け私募投信の純資産総額が4兆3千億円(19年末時点)超で、国内有数の規模(7位)を誇る一方、個人も取引できる公募投信の残高は5千億円程度にとどまる。その大半は指数連動型のETF(上場投信)で、ETF以外の個人向け商品はJAバンクの窓口を通じた販売が中心であるため、一般の個人投資家には馴染みが薄いのが現状だ。
NZAMは私募投信で培ってきたインデックスファンドの運用ノウハウを、より多くの個人投資家に提供するため、公募投信としてネット経由で販売することを検討してきた。本格的な議論に入ったのは昨年。商品コンセプトなどを一から考えて今回のシリーズ設立に至った。
■ニーズにあった商品ラインアップ
「NZAM・ベータ」シリーズは今年2月に当初4本設定され、現在は計8本運用している。「会社の認知度を高めることから始めたい」(企画営業本部企画部・須藤亮輔副部長)と考え、ファンド名称の冒頭に会社名をいれた。「ベータ」は市場の値動きとの連動を示す「ベータ値」に由来する。つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)の対象商品となる条件を満たすことを考慮しつつ、すでに運用している私募投信の中で個人投資家にもニーズがありそうなものから商品化を進めている。
同シリーズは投資対象が単一資産クラス、もしくは2資産のシンプルなファンドがそろう。「幅広い国や地域をカバーできる株価指数に連動するファンドでは投資対象のウエイトに偏りがあり、どこの国にどの程度投資しているかわからなくなってしまう場合がある。どの投資先の成績が良くて、どこが悪かったのかが分かると、その後の資産形成に対する意識も変わってくるはず」(須藤氏)と考えるためだ。
シリーズの中には信託報酬が業界最安値水準のファンドもある。低コスト化に関して、須藤氏は「きりつめられるところはきりつめていくが、一定のクオリティを保ち、安定した運用を優先する予定」と話す。

農林中金全共連アセットマネジメント(NZAM) が運用するネット向けインデックスファンド(ETFを除く公募投信)のリスト
■レバレッジに加え、新シリーズにも意欲
3月12日には新たに「NZAM・レバレッジ」シリーズを2本設定した。日々の値動きが対象指数の2倍程度となるように運用するファンドで、私募投信では10年超の運用実績がある。投資家の反応を見ながら、レバレッジ以外の新シリーズの展開も見据える。
NZAM・シリーズの取り扱いはネット経由のみ。個人投資家がポートフォリオを組む際に、パーツとして個々のファンドを選んでもらうことを期待している。今後は自社サイト上で、ファンドの組み合わせパターンの提示や、シュミレーションツールの提供を拡充していく予定だ。
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