QUICK Market Eyes=根岸てるみ、川口究
24日の米市場でダウ工業株30種平均が史上最大の上げ幅を演じるなど新型コロナウイルスの感染拡大を嫌気したリスクオフにも一服感が出た。直近で急激に売り込まれた銘柄の大幅反発が指数をけん引したが、実は数日前から半導体セクターには短期的であっても底打ち感が先行していた。フィラデルフィの半導体株指数(SOX)とダウ平均はこの日、ともに上昇率が11%に達したが様相は少し違う。明確な業績の成長シナリオを背景にした割安感から買いの触手が入っていた。
■インテル大幅続伸
24日の米株式市場でインテルが大幅に続伸。前日比5.7%高の52.4ドルで取引を終えた。この日は自社株買いの一時停止を発表したものの配当の維持を表明したことや、ゴールドマン・サックスが投資判断を「売り」から「中立」に引き上げたことなどが好感された。
インテルは2019年10月、約200億ドルの自社株買いを発表。これまでに約76億ドルの自社株買いを実施していた。新型コロナウイルスの問題が落ち着いた際には再開する意向を示している。インテルは東京五輪のスポンサーでもあるが、今回の延期について同社としての姿勢に変化はないと、延期を支持するコメントをしているようだ。
■エヌビディアは割安感から投資判断上げ
画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディアも大幅続伸。日中取引の終値は前日比17.15%高の249.18ドルだった。こちらもアナリストによる再評価の動きが出始めた。ニーダムは24日付リポートでエヌビディアの投資判断を「ホールド」から「バイ」に引き上げた。一方で、目標株価は270ドルで据え置いた。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に歯止めかからず、先行き不透明な中にあってもバランスシートが健全で、今後は医療用途のGPUの需要が増加すると見込む。また世界経済においてAI(人口知能)への移行は大規模企業、エンタープライズと市場を問わずウイルスの流行の間にも加速していると指摘した。株価がピーク時から約35%下落したこともあって、投資判断を引き上げたとする。