米半導体大手エヌビディアの決算発表の数日前から主要メディアで予想・分析記事が多数掲載された。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「エヌビディア・デーにポップコーンの準備」と題した記事で、ニューヨーク・マンハッタンで投資家やファンによる「エヌビディア決算パーティー」が予定されていると報じた。フィナンシャル・タイムズ紙は、AI(人工知能)ブームの健全性を判断するうえで関心が高く、エヌビディア決算は米株式市場にとって雇用統計と同程度に重要になったと解説した。
ニューヨーク株式市場の8月28日取引終了の約20分後に発表されたエヌビディアの第2四半期(5~7月)決算は驚異的な大幅増収増益。2年近く続くAIブームの勢いが継続していることを示したものの、時間外取引でエヌビディアの株価は約7%下落。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、第3四半期(8~10月)の売上高見通しの市場予想上振れ率が2%にとどまり、新製品の粗利益率の縮小も影響したと解説した。CNNは、予想を小幅上回っただけでは投資家は満足しなくなったと伝えた。高すぎる期待が影響した。エヌビディア決算後のAI関連株の動きはまちまち。AIならすべて買いの時代は終わり、銘柄の選別が進む兆候を示した。
エヌビディア・パーティーを通過。投資家の関心は連邦準備理事会(FRB)が9月17~18日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)に移った。「ジャクソンホール会議」におけるパウエル議長の発言で利下げは確実視されているものの、利下げ幅とペースをめぐり見方は割れる。米金利先物の動きからFRBの政策を予想する「Fedウォッチ」では、8月末時点で9月を含め年内残り3回の会合で合計1%の利下げがある確率が高い。毎会合ごとに利下げすると仮定すると、3回のうち1回は利下げ幅が通常の0.25%ではなく0.5%になると予想している。利下げを期待しすぎかどうかは今後発表される雇用統計が鍵を握りそう。
9月2日はレーバーデー(労働者の日)で休場。米株式市場の9月取引は3日火曜日に始まる。市場関係者や投資家が本格的に夏休みから戻るレーバーデー明けは取引が活発化する傾向がある。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、今年の9月は例年以上に株式、債券、エネルギー相場が動く見通しで、特に今後2、3週間は重要と報じた。S&P500種株価指数構成企業の株価は今後12カ月の1株あたり利益予想の約21倍と相対的に割高で、米10年物国債と米2年物国債の利回りの逆転は解消しつつあるが、FRBの利下げが迫る中でどう展開するか不確実性があり、ウクライナと中東の地政学リスク、米大統領選も控え不透明感は強いと伝えた。9月の株式相場は歴史的に軟調とされ、「9月効果」という格言もある。今年はどう展開するか。
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福井県出身、慶應義塾大学卒。1985年テレビ東京入社、報道局経済部を経てブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長を歴任。ソニーを経て、現在は米国ロサンゼルスを拠点に海外情報を発信する。