QUICK Market Eyes=池谷信久
■金利差は円高を示唆?
QUICK FactSet Workstationによると日米10年債の金利差は足元で0.67%と2012年7月以来、およそ8年ぶりの水準まで縮小した。金利差は為替変動要因のひとつだが、3月はドル需要の高まりから金利差縮小局面でもドル高が進み、111円台へ円安・ドル高が進む場面もあった。しかし、各国中銀のドル資金供給策を受けドル需要は峠を越している。また日本の決算期である3月末を越えればドルの需給は一段と緩和するとの見方もある。4月以降、円高・ドル安に振れるリスクを意識しておいた方が良いのかもしれない。
■ダラスに見る停滞長期化の兆候
米経済のファンダメンタルズにその兆候が現れている。30日に米ダラス連銀が発表した3月の製造業活動指数はマイナス70と過去最低を更新、QUICK FactSet Workstationによる市場予想マイナス12も大幅に下回った(青線)。4月1日に発表される3月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数も46.1と2月の50.1から悪化が見込まれている。予想通りの結果となれば2009年6月以来、およそ11年ぶりの低水準となる(緑線)。
新型コロナウイルス感染拡大で経済活動は急速に悪化している。トランプ米大統領は29日、全国民に求めている行動制限の期限を4月30日まで延長した。企業活動や個人消費など実体経済の停滞は4月も続く可能性が高まっている。