QUICK Market Eyes=片平正二
■「株価指数が25%低いか、予想EPSが25%高いか」、それとも…
市場の関心は14日のJPモルガン・チェース(@JPM/U)などから本格化する米企業決算シーズンに向かいそう。
ゴールドマン・サックスは13日付の「後ろ向きのデータvs前向きな市場」と題するリポートで「米連邦準備理事会(FRB)と米議会は完全な経済崩壊の見通しを否定しており、S&P500指数の年末の目標値を3000で維持する」との見解を示した。リポートでは、S&P500指数が現在、10カ月前の2019年6月と同じ水準にあることが「注目に値する」と指摘。当時、GSがトップダウンで予想したS&P500の1株当たり利益(EPS)は174ドルだったが、現在は同じ株価水準ながらEPSは37%も低い110ドルとのこと。
その上で「EPSはほとんどの投資家の現在の枠組みをより正確に反映している。我々のマクロ評価モデルでは、2期先の予想株価収益率(PER)が12倍であることが示されているが、2021年のEPSの指標レベルとコンセンサス予測EPS(177ドル)だと、16倍のPERに相当する。予想通り、コンセンサス予想EPSが下方修正されれば、市場予想のPERはさらに上昇するだろう」と指摘。
「言い換えれば、我々のマクロ評価モデルはS&P500指数が25%低いか、または2021年の予想EPSのコンセンサスが25%高いか、あるいは今日の株式評価が我々のモデルで捕捉された伝統的なドライバーよりも政策支援や投資家心理により密接に結びついているかのいずれかを示している」とも指摘し、EPSの低下基調が続く一方で株価が戻り歩調にあることは企業業績以外の効果を市場が織り込んでいるとみていた。
■20年1QのEPSは4年ぶりの減益率
QUICK FactSet Workstationによれば、13日時点のS&P500の予想EPSは13日時点で175.61ドルとなっている。3月上旬には194ドルを超えていたため、米株の下落に歩調を合わせつつ、足元では3月のピークから9%超の減益を織り込んだ状態にある。金融情報会社ファクトセットの3日付のリポートによれば、20年1~3月期(1Q)のS&P500のEPSは9.1%減となり、2016年1~3月期(1Q、9.8%減)以来、四半期としては4年ぶりの減益率を記録すると言う。しかし、業績悪化は過去の数字としてFRBの大胆な緩和策、新型コロナの収束期待などに伴うPERの上昇を伴いながら米株が強含むようなら、過度に悪い決算シーズンを警戒する必要はないかも知れない。
▼S&P500(青)と予想1株当たり利益(EPS、赤)
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