NQN香港=桶本典子
香港株式相場の出遅れ感が目立っている。香港市場は地場の企業だけでなく、欧州銘柄や中国本土系銘柄も上場する国際性が自慢。だが、新型コロナウイルスの感染が世界で拡大するにつれ、世界的な景気減速が直撃する格好になっている。
■上値重い香港株、コロナ問題は強みの「国際性」に逆風
香港の主要株価指数であるハンセン指数の15日終値は2万4145と、年初から14%安い水準だった。米株急落などで年初来安値を付けた3月23日(2万1696)からの戻りは11%。同期間に韓国総合指数(KOSPI)が25%(韓国は15日が休場のため14日終値と比較)、日経平均株価が16%、台湾加権指数が18%それぞれ戻したのに比べ、上値は重い。

※香港ハンセン指数(オレンジ太線)の戻りは鈍い
新型肺炎による死者は香港では4人のみと3000人以上が死亡した中国はもちろん、封じ込め策が評価される台湾(死者6人)と比べても少ない。にもかかわらず、投資家は及び腰だ。
元英領で中国と隣接することから英語と中国語が通じ、株式市場としての成熟度も高い香港市場には、多様な国籍の企業が上場し存在感も大きい。例えばハンセン指数の構成銘柄の時価総額上位は、中国系の騰訊控股(テンセント、@700/HK)と中国移動(@941/HK)、英系のHSBC(@5/HK)で、長江和記実業(CKハチソンホールディングス、@1/HK)など香港の地場銘柄は入らない。
しかし、この国際性が今はマイナスに作用している。「景気減速が世界規模で広がったことは、香港株にとって不利だ」。太陽証券リサーチ・アナリスト・マネジャーの徐満光氏はこう指摘する。
実際、3月下旬以降の欧米での新型肺炎の拡大は、香港上場の欧州銘柄を直撃した。HSBCはハンセン指数が戻すなかで3月23日から4月15日までに8%下げ、16日も大幅安で推移している。同業のスタンダードチャータード(@2888/HK)などを含め、欧州銘柄の多くは上場来安値圏に沈む。不正会計などの心配が少なく、長期投資家に愛好されてきた欧州銘柄の衰退は香港市場の投資家心理を根本から冷やしている。
■中国銘柄もさえない 地場銘柄は堅調だが…
中国銘柄もさえない。上海総合指数は3月23日以降の戻りが6%とハンセン指数よりもさらに重い。新型肺炎が猛威を振るった2月を経て、景気減速と企業業績の悪化が顕在化するとの不安が根強いためだ。ゲームの巣ごもり需要など好材料があるにもかかわらず、テンセントの戻りは14%と、韓国サムスン電子(@005930/KO)の15%(14日終値比)に及ばない。
香港でも地場銘柄の一角は堅調だ。3月23日以降では長江和記実業が25%戻し、上昇率はハンセン指数を大きく上回った。ただ存在感は小さく、相場を押し上げるには力不足だ。
投資家の間では、先行きの相場についてもため息交じりの声が多い。「原油相場の低迷で中国石油天然気(ペトロチャイナ、@857/HK)など石油株も足を引っ張る」(輝立証券ディレクターのルイス・ウォン氏)。ハンセン指数について、太陽証券の徐氏は「6月までに2万1500程度まで下落する」と予想。輝立証券のウォン氏も「上昇しても2万4600程度にとどまる」と慎重にみている。
新型肺炎の拡大で外出や移動の制限が長引くにつれ、人々の生活や価値観も変化する可能性がある。香港取引所の李小加(チャールズ・リー)最高経営責任者(CEO)はこれまで「香港市場は国際市場」と、ことあるごとにその強みを強調してきた。しかし、銘柄の国籍が多様であることは本当に「強み」なのか。香港株の現状を見ると、必ずしもそうは言いにくい。