QUICK企業価値研究所アナリスト 小西慶祐(2020/06/04)
・生産能力と固定費を削減、日本、中国、北米に集中へ
同社は5月28日、新たな事業構造改革計画(21/3期から24/3期までの4カ年計画)を発表した。生産能力の20%削減、3000億円の固定費削減といった「最適化」を進める一方、コアマーケットの日本、中国、北米に集中、アセアンや欧州ではアライアンスのアセットを活用し、適正規模で事業を運営するという「選択と集中」が柱である。目標数値は、中国合弁会社を比例連結した営業利益率で、20/3期の1.0%から22/3期に2%以上、24/3期に5%以上に引き上げる考え。企業価値研究所は、22/3期の2%以上は達成可能とみるが、24/3期の5%以上の達成は容易ではないと考えている。同社の最重要課題は、値引き販売などに依存してきた米国事業の立て直しとの見方に変更はなく、その再建には相当な時間を要しよう。
・新型コロナの影響で今期は営業赤字幅の拡大を予想
21/3期の連結営業損益について当研究所では、1200億円の赤字(前期は405億円の赤字)を予想する、新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした足元の一時生産停止が響くと見込んだ。続く22/3期は、期を通じて正常な経済活動が可能と想定、営業黒字に転換する見通しとした。
・リスクファクター ~米国事業の立て直し
・アナリストの投資判断 ~米国事業再建は時間を要しよう。上値余地は乏しいとみる
直近の株価に基づく、生産能力や固定費の削減がおおむね完了すると見込んだ23/3期の予想PERは10倍。同社の過去60カ月(多額の一過性費用を計上した20/3期を除く)の平均PERと同水準にあり、割安感はない。米国事業の立て直しに相当の時間を要するとみたほか、これまでのような積極的な配当政策に復帰するにも長い時間を待つ必要があるとの見方は変わらない。当面の株価の上値余地は乏しいと考える。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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