太陽光発電施設に投資するインフラファンドの存在感が増している。発電事業は新型コロナウイルスの影響を受けにくいうえ、脱炭素社会という大きな流れを受けて投資マネーを呼び込み、株式相場の乱高下を耐え抜いた。世界の主要金融機関が脱炭素を投融資の判断基準の一つとして取り入れ始めるなど時代の変化もインフラファンドの追い風になりそうだ。
■太陽光発電施設に投資するインフラファンド
インフラファンドは、太陽光発電施設や道路、空港といったインフラ施設に投資する金融商品。公的資金に限りがあるなか、投資マネーを取り込みインフラの整備や新設に役立てようというコンセプトだ。このインフラファンドの年初から前週末5日までのパフォーマンスを調べたところ、3月中旬に主要各国の株価指数が安値をつける中でも下げ渋る姿がうかがえた。なかでも太陽光発電施設に投資するインフラファンド※(オレンジ線)のパフォーマンスが目をひく。通信・公益事業・エネルギー・運輸・社会の5つのインフラを組み入れる指数(黄色線)を上回った。
■脱炭素の動きは金融機関の投融資にも
CO2の排出量は2019年に過去最高を記録したが、コロナ禍による経済活動の停滞で20年の世界のCO2排出量は前年比8%減ると国際エネルギー機関(IEA)は予測する。しかし米ハワイ州のマウナ・ロア観測所の報告によれば、大気中のCO2濃度が5月に過去最高を記録した。経済活動の再開によりCO2の排出量が増加する懸念がくすぶる。
脱炭素の動きは金融機関の投融資にも波及し始めた。英バークレイズなど世界の大手銀行が融資の判断基準の一つに取り入れ始めた。銀行の投融資姿勢は企業の背中も押し、仏エネルギー大手トタルは5月、50年までにCO2排出量実質ゼロを打ち出した。ESG重視の動きが株式市場から銀行融資の分野にも拡大し始め、脱炭素戦略を推し進めない企業は資金調達に支障が出かねない。
脱炭素社会への移行が進む中で、ESG重視の流れににますます拍車がかかりそうだ。英国最大級の運用会社リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメントや米ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは日本株を対象としたESG指数の開発などに動き出した。環境に配慮しなければ評価を得られない社会になりつつある。(QUICK Market Eyes 川口究)
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