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米で存在感増す「ロビンフッド」世代 政治と市場に影響力

トランプ米大統領は20日、11月の大統領選に向け3カ月半ぶりとなる選挙集会をオクラホマ州で開いた。舞台となったのは1921年に約300人の黒人が虐殺された事件があったタルサ。裕福な黒人の多くが店舗を構えていたことから、かつて「黒人のウォール街」と呼ばれていた南部の街に全米の注目が集まった。

米CNNによると、トランプ選挙事務所は4万人の支持者が集まると想定した。約1万9千人を収容できる会場でも入りきれないため、会場外に特設ステージを用意した。しかしタルサ消防局の発表では集会に集まったのは6200人。特設ステージどころか、本会場の上層階には空席が目立った。トランプ陣営は、抗議デモを恐れて支持者が入場できなかったと説明したが、背景には別の要因があったとみられている。

米ニューヨークタイムズ紙など複数のメディアはTikTok(ティックトック)のユーザーとKポップのファンが空席をつくったと報じた。トランプ陣営が11日にツイッターで集会の無料チケットを登録するよう呼びかけたことを受け、10代のティックトックのインフルエンサーが動いた。Kポップのファンも続いた。いずれも参加する意思がない幽霊登録者だった。ティックトックのユーザーとKポップのファンのほとんどは10~20代前半の若者だ。彼らが大統領選に影響力を持った可能性を示した。

ティックトックのユーザーと重なるヤング世代はウォール街をも動かしつつある。「ロビンフッド」と呼ばれる投資家だ。映画「ロビンフッドの冒険」に登場する中世イングランドの伝説上の人物ではなく、スマートフォンのアプリ「ロビンフッド」で取引する投資家だ。

2013年に米シリコンバレーで起業したロビンフッド・マーケッツが急激に口座を増やしている。米国の大学生らの間でブームになり、今年第1四半期(1~3月)に口座数を300万増やしたことがウォール街で話題になった。オンライン証券が誕生して以来の衝撃で、Eトレードなど大手の口座数を軽く抜いた。

「ロビンフッド」を使う若者が個別株を動かしている

「ロビンフッド」を使う若者が個別株を動かしている

米国株式相場が3月の安値から戻した背景にはロビンフッド投資家がいるとの見方が少なくない。米CNBCによると、投資銀行のバークレイズはロビンフッド投資家と主要株価指数の関係を分析し、関連性がなかったと結論付けたが、特定の個別銘柄の値動きに大きく影響したとの指摘は相次いでいる。

トランプ大統領やウォール街関係者はツイッターを多用している。ヤング世代はツイッターやフェイスブックはもう古いと敬遠し、新しいアプリを選ぶ。2020年はティックトックのユーザーが政治を動かし、ロビンフッド投資家がマーケットに影響を与える元年になるかもしれない。

(このコラムは原則、毎週1回配信します)

Market Editors 松島 新(まつしま あらた)福井県出身、慶應義塾大学卒。1985年テレビ東京入社、報道局経済部を経てブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長を歴任。ソニーを経て2011年からマーケット・エディターズの編集長として米国ロサンゼルスを拠点に情報を発信

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松島 新


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