環境や社会貢献に配慮した「ESG」は企業行動の前提となる。8月のQUICK月次調査・株式では、機関投資家の意識の変化が浮き彫りになった。
ESGを判断材料に取り入れるESG投資について聞いた質問で、4割の投資家が「企業活動の前提となり、特別視するものではない」と回答した。2番目に多かった「世界的な潮流として大きく発展」(22%)に倍近い差をつけた。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年に運用方針に取り入れてから、日本でも急速にESG投資は広がっている。
「国内での発展は限定的」や「一時的なブーム」との回答はあわせて1割程度にとどまっており、今や機関投資家にとってESG投資は特別なものから当たり前のものになりつつある。
個人投資家もESG投資への関心を高めている。今年7月にアセットマネジメントOneが運用を始めた投資信託「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)<愛称:未来の世界(ESG)>」は約4000億円の投資マネーを集めた。
未来の世界(ESG)は、持続的な利益成長が期待できる世界の成長企業の株式を投資対象とする。そのうえで、ESGに関する評価を加味して投資対象を絞り込む。7月末時点の組み入れ銘柄上位には米アマゾン・ドット・コムやサービスナウなどが入る。この投信はみずほ証券など対面営業の金融機関が販売する。
野村証券ではESGに関連した投信を積み立てで買い付けると手数料の一部をキャッシュバックするサービスを始めた。こうした証券会社の営業戦略も個人のESG投資を後押ししている。