11月3日の米大統領選まで3カ月を切り、市場の注目度は高まっていくだろう。ただ、みずほ証券の丹治倫敦氏は「トランプ氏・バイデン氏のどちらが大統領になったとしても、金融政策に劇的な違いは生じない」とみている。大統領が直接的に金融政策をコントロールすることはないが、人事等を通じて影響をおよぼす可能性はある。しかし、インフレリスクが乏しい状況では、「よほど金融政策に対して強いこだわりがない限り、中央銀行に対してはハト派的な政策を求める」可能性が高いためだ。
その上で「強いて言うなら、トランプ氏がハト派的スタンスであることを最優先に人選する可能性が高いのに対し、バイデン氏はダイバーシティなど他の観点を重視した人選を行う可能性があり、相対的にはややタカ派的な議長が誕生するリスクが高いとみることはできるかもしれない」と述べている。
ただ、バイデン氏が勝利した場合は、法人増税や金融規制強化への懸念から短期的には株式市場がネガティブに反応する可能性があるため、「長期金利にもどちらかと言えば低下圧力がかかる可能性が高い」とみていた。(QUICK Market Eyes 池谷信久)
<金融用語>
ダイバーシティとは
ダイバーシティ(多様性=Diversity)とは、多様な人材の積極的な活用や多様な働き方の実現を目指す考え方のこと。女性の登用推進のみならず、高齢者、外国人、障害者、LGBT(性的少数者)など様々な属性をもった人を受け入れ、働き方をサポートするための人事制度や職場環境を整えたり、それぞれの価値観やライフスタイルを尊重して勤務時間や場所の自由度を高めたりすることで個々の活躍への支援を行う。経営戦略としてダイバーシティを実践することによって、多様化する顧客のニーズに柔軟に対応し、企業の生産性や競争力を高める効果を狙う。