■WTI原油価格上昇、大型ハリケーン接近と原油在庫5週連続減
米エネルギー情報局(EIA)が発表した石油在庫統計によると8月21日時点の原油在庫は前週比468万9000バレル減と5週連続でのマイナスとなった。
メキシコ湾を北上しているハリケーン「ローラ」が5段階で2番目に強い「カテゴリー4」まで勢力を強め、メキシコ湾岸周辺の石油生産設備や製油所は操業と停止し、従業員を退避させたと伝わっている。同湾岸には全米の精油能力の約半分が集中しており、ハリケーンの被害や操業停止が長引くような事態になれば石油製品の供給が滞ると懸念された。
米商品市場では原油先先物価格(WTI)が43ドル台半ばへ上昇し、3月以来5カ月ぶりの高水準となっている。
■米5年物BEIが半年ぶり高水準、パウエル議長の講演前に原油高・金先物高
米債市場で市場の期待インフレを現すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)の5年物が26日、前日比5.01bps上昇して163.20bpsとなった。新型コロナウイルス(COVID-19)が世界的に感染する前の2月19日(164.61bps)以来、半年ぶりの水準を回復した事になる。
10年物のBEIは8月12日に半年ぶりの水準を回復していたが、5年物も2週間ほど遅れて半年ぶりの高水準を回復したことになる。この日の米国市場では主力ハイテク株が強含む中でナスダック総合指数とS&P500指数が史上最高値を更新し、原油在庫の増加を受けてWTI原油先物が0.09%高で3日続伸した。その反面、27日に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の講演を控え、金融緩和の長期化期待からNY金先物は3営業日ぶりに反発して1.52%高となり、市場のインフレ期待が高まる中で現物資産の金が強含む展開だった。
(QUICK Market Eyes 丹下智博、片平正二)