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トランプ相場の光と影  穏健政策でIT株2.7倍、エネルギーは大幅下落

11月3日投開票の米大統領選まで2カ月あまり。米共和党が8月24日に現職のトランプ氏を大統領候補に指名し、民主党のバイデン前副大統領との対決が正式に決まった。新型コロナウイルス禍で失業率が10%超と高止まりするなか、トランプ氏は「米国第一主義」を一段と鮮明にして再選を狙う。就任後の米政策と株式相場を振り返る。

■「巣ごもり消費」の恩恵

前回の大統領選当日の16年11月8日から今年8月26日までにS&P500種株価指数は62.6%上昇した。米経済が巡航速度並みの成長を保つなか、経済重視のトランプ氏は10年で1.5兆ドルの大型減税に踏み切った。米連邦準備理事会(FRB)には低金利を維持するよう圧力をかけ、結果的に緩和的な金融政策が続いたことも株式市場への資金流入を促した。09年3月からの過去最長の強気相場はコロナまん延でいったん途切れたが、その後急速に盛り返し株価指数は最高値圏にある。

S&P500指数

※トランプ氏が米大統領に就任以降のS&P500指数

「トランプ相場」のけん引役はハイテク株だ。S&P500種の業種別指数をみると全11業種のうち、在任中に「IT(情報技術)」が2.7倍、「一般消費財」が2.0倍に上昇した。S&P500種の上昇率を上回ったのはこの2業種だけ。ITはスマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトなどがけん引した。一般消費財はアマゾン・ドット・コムが業種別指数を押し上げた。

<業種別S&P500指数の騰落率ランキング(%)>

業種 騰落率
IT(情報技術)       △ 2.7倍
一般消費財          △ 2.0倍
ヘルスケア          △ 57.5
通信サービス         △ 35.4
素材             △ 34.4
資本財・サービス       △ 30.4
金融             △ 24.1
生活必需品          △ 22.7
公益事業           △ 19.1
不動産            △ 18.1
エネルギー          ▲ 47.7
S&P500種株価指数      △ 62.6

低金利政策が最も追い風になった業種の1つがハイテク株だろう。高PER(株価収益率)銘柄が多いが、金利低下で相対的な割高感が薄れた。コロナ禍で世界経済が急速に落ち込む中でも、ハイテク株は在宅勤務の普及や「巣ごもり消費」の恩恵を受け、買いが途切れなかった。

トランプ氏は7月末に「議会が巨大IT企業に公正さをもたらさないようなら大統領令を使う」と述べるなど、GAFA(グーグル親会社のアルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン)に厳しい姿勢を度々示してきた。だが、実際の政策はというとIT技術者が多く使う就労ビザの発給制限など小粒な対応にとどまった。株価を政権の通信簿と位置づけるトランプ氏のGAFAに対する穏健な政策が、買い安心感につながった面も否めない。

■増産で原油需給は緩んだ

一方、業種別で唯一下げたのは「エネルギー」だ。トランプ氏は支持基盤であるシェールオイル企業によるエネルギー開発の規制を緩和し、有数の産油国であるイランやベネズエラなどを国際市場から締め出した。だが、結果的に米シェールの増産で原油需給は緩んだ。トランプ氏は個人消費を促すため、石油輸出国機構(OPEC)に圧力をかけて原油相場を低めに誘導しようとしたこともあった。原油価格は構造的に上昇しにくくなり、エネルギー株への売り圧力は続いた。

前回の大統領選以降は米国第一主義を主張するトランプ氏の貿易政策での対中強硬姿勢が株式相場を大きく揺らす場面が多かった。制裁関税の導入などで昨年の対中赤字は3年ぶりに縮小したが、中国経済の足を引っ張った。中国売上高が多い銘柄が集まる「資本財・サービス」の売り圧力につながり、在任中の業種別指数の上昇は30%にとどまった。

■低金利政策の長期化

低金利政策が逆風になったのは「金融」だ。トランプ政権はドッド・フランク法の改正など金融規制の緩和に前向きで、金融は昨年末までは54%上昇し、実はS&P500種をわずかながら上回っていた。だが、コロナ禍で米景気停滞と低金利政策が長期化するとの観測が強まると、利ざや縮小懸念が強まり失速した。

個別企業(米主要500社ベース)の株価騰落率をみても、上昇率上位にはIT株が並ぶ。首位は株価が12倍となった半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)、2位は7倍となった画像処理半導体のエヌビディアだ。アップルやマイクロソフトのほか、クラウド関連のサービスナウやアドビなども上位に並んだ。

<米主要500社の上昇率ランキング(倍)>

米主要500社 上昇率
アドバンスト・マイクロ・デバイス   △12.3
エヌビディア         △ 7.2
デックスコム         △ 6.8
ペイコム・ソフトウエア    △ 6.5
サービスナウ         △ 5.7
ペイパル・ホールディングス  △ 4.9
アドビ            △ 4.9
MSCI           △ 4.6
アップル           △ 4.6
ケイデンス・デザイン・システムズ     △ 4.4
ネットフリックス       △ 4.4
ゼブラ・テクノロジー     △ 4.4
フォーティネット       △ 4.4
アマゾン・ドット・コム    △ 4.4
オールド・ドミニオン・フリート・ライン △ 4.0
コパート           △ 3.9
アンシス           △ 3.8
シノプシス          △ 3.7
マイクロソフト        △ 3.7
テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア △ 3.6

〔NQNニューヨーク=川内資子〕

著者名

NQNニューヨーク 川内 資子


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