東京株式市場で日経平均株価が上昇傾向にあり、新型コロナウイルス感染拡大で2月に急落する前の水準まで戻りつつある。安倍晋三首相の突然の辞任表明など政治の波乱要因を抱えるなかで、投資信託を売買する個人投資家はどう動いただろうか。
国内公募の追加型株式投信(ETF除く)のうち、国内株式を対象とするブル・ベア型ファンドの資金流入額を調べてみたところ、8月に入ってからブル型からの資金流出と、ベア型への資金流入が顕著だった。特にブル型は8月14日に今年最大の109億円(推計値)が一日で流出したことが目を引く。安倍首相の辞任が伝わった前週末以降はそれほど大きく動いていない。
ブル・ベア型ファンドは株価指数などの先物取引を活用する。投資対象指数の数倍の値動きをするのをブル型、指数の逆方向に数倍の値動きをするのをベア型という。一般的に相場が今後上昇すると考える「強気」な投資家が多ければブル型への資金流入が増え、下落すると考える「弱気」な投資家が多ければベア型への資金流入が増える。
足元ではブル型からの資金流出とベア型への資金流入の傾向が目立つので、株価回復の流れに対抗する「逆張り」の投資家が増えてきたことを示す。日経平均がコロナ前の水準までじわじわ持ち直すなかで、個人投資家は先行きの相場調整に備えているようだ。
(QUICK資産運用研究所=西本ゆき)