株式市場にとって望ましい次の首相は菅義偉官房長官――。QUICKが今月初めに国内機関投資家の運用担当者に調査したところ、菅氏が70%の支持を得た。13%で河野太郎防衛相が続き、一般の世論調査では人気の高い石破茂元幹事長は5%にとどまった。
次期政権の課題としては「新型コロナウイルス対策」と「企業競争力の強化・産業の新陳代謝」を求める声が目立った。「政官のデジタル化推進」が3番目に多く、菅氏が検討するデジタル庁の設置に沿った形となった。
市場関係者は戦後最長を記録した安倍政権をどう評価したか。回答者の6割が「日銀の大胆な金融緩和、継続的ETFの買入」を評価できる経済政策として選んだ。そのほか、「インバウンドの推進」や「TPP(環太平洋経済連携協定)など自由貿易の推進」、「コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードの制定」の評価が高かった。
長期政権の要因を聞いた質問では「政権を担える野党が存在しなかった」が50%を占めた。「アベノミクスで株価が上昇した」と「アベノミクスで雇用環境が改善した」がそれぞれ16%だった。
株式相場の見通しは明るくなってきた。QUICKが毎月実施する月次調査<株式>で、1カ月後の日経平均株価の予想が7カ月ぶりに2万3000円台を回復した。注目する価格変動の要因は、景気や企業業績から政治や外交、海外市場に移りつつある。
9月末の日経平均の予想平均値は2万3020円で、前月の予想(8月末予想、2万2041円)から1000円近く上昇した。前月は回答者の70%が「景気・企業業績」を価格変動要因として挙げていたが、今月は50%に低下した。代わりに「政治・外交」が7%増の25%、「海外株式・債券市場」が9%増えて14%にのぼった。4~6月を景気の底と確認し、11月に控える米大統領選や高まる米国株熱をリスク要因として考え始めているようだ。
調査は国内機関投資家の運用担当者216人を対象に実施し134人が回答した。調査期間は9月1~3日。
※QUICKでは株式、債券、外為の市場関係者を対象に、景気や相場動向についての月次アンケートを実施しています。それぞれの調査結果の詳細は、QUICKの様々な金融情報端末・サービスで公表しています。