株式市場で解散総選挙期待がにわかに高まりつつある。国民民主党と立憲民主党の合流に伴う代表選挙が9月10日に行われ、新・立憲民主党の代表に就任した枝野幸男代表は「解散総選挙は10月25日にも投開票かも知れない」と述べ、早期の解散があっても大丈夫なよう気を引き締めていた。10月に解散が行われる可能性については、河野太郎防衛相が9日に米シンクタンクのイベントで「恐らく10月のどこかで行う」との見解を示していたばかり。東京五輪などのイベントを踏まえれば、来年の衆議院の任期切れを前に解散に踏み切るタイミングは限られるとの見方だ。
■「早期に何かしらの実績を上げる必要がある」
菅義偉官政権が誕生した場合の注目点について、ドイツ証券は10日付のリポートで「金融市場の注目点は、自民党総裁選後の政治イベントや、菅氏が実施する可能性がある経済政策にシフトしている」と指摘した。リポートでは、菅氏が首相になった場合、「アベノミクスに携わった人物が重要ポストに就く可能性がある。当社では、甘利自民党税制調査会長の処遇に注目している」と指摘。その他のポイントとしては、「2021年9月の自民党総裁選を展望する上では、岸田政調会長の処遇にも注目である。また、現在の衆議院議員の任期が2021年10月に終了する。政権基盤を強固にし、来年の自民党総裁選を有利に進めるために、新たな首相が早期に衆議院を解散し、総選挙を行う可能性がある」とも指摘した。1990年以降の日本の首相の在任期間は短期・長期の2パターンがあったとして、「最初の1~2年を乗り切れば、長期政権への道が開かれる。新たな首相は、早期に何かしらの実績を上げる必要があろう」と指摘。新総裁誕生で自民党の支持率が上がるタイミングは実績を挙げやすいとみられる。
■新内閣の顔ぶれがヒント
みずほ証券は10日付のリポートで「菅政権成立、衆議院解散総選挙、指定感染症レベル修正でコロナ狂想曲にピリオド?」と指摘。「新内閣の顔ぶれは今後の政局を占う重要なヒントとなりうる。端的に言って、『選挙の顔』としての役割が期待されるような布陣が揃っていれば、それは『早期解散、経済活動再開』の確率が高いことを意味する」としながら、「1年後に再度自民党総裁選が控える中、菅氏が長期政権を目指すのであれば、支持率の高い新政権成立直後に選挙を行い、勝利し、自民党内での求心力を引き上げる誘因が働く」とみていた。解散の大義の一つとしては、「新型コロナウイルス対策の方針修正、すなわち、感染症法上の扱いを緩和することが挙げられそうだ」とも指摘。経済活動の再開に向けての補助金などの対策が期待されそうだ。
(QUICK Market Eyes 片平正二)