TDセキュリティーズは9月15日付リポートで、11月の米大統領選は急成長しているESGセクターに重要な分岐点をもたらす可能性があるとの見方を示した。
■バイデン氏勝利ならESG政策へ
トランプ米大統領が再選した場合、この4年間に見られるようにESGの公約をほとんど支持しない公算が大きいと指摘。トランプ米大統領がこれまでに地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱したことなど、数々の環境規制を後退させたことが引用されている。
なお、朝日新聞デジタルは15日、14日にトランプ大統領が大規模な山火事が続くカリフォルニア州を訪れた際、地球温暖化について「次第に涼しくなる。見ていろ」と述べたことを報じていた。
トランプ氏「次第に涼しくなる」 温暖化懸念に反論
https://www.asahi.com/articles/ASN9H4SHYN9HUHBI00M.html
一方、バイデン候補が勝利すれば米国は再び多国間の気候会議に参加するようになり、米国はより厳しいESG政策に向かうとの見方が示されている。TDセキュリティーズはバイデン候補が勝利した場合、地球温暖化対策の先進的な政策目標「グリーン・ニューディール」の一部が今後の政策議題に組み入れこまれる可能性が高いと予想している。
■飛躍的に成長したESG
TDセキュリティーズは米政府の支援がないにもかかわらず、ESGがこの4年間で飛躍的に成長したと振り返った。背景に国際的なリーダーシップや投資家からの圧力、世代間の選好の変化、幅広い投資分析にESGが統合されたことなどが挙げられている。
今年のこれまでのESG債権発行額は、社債の発行が急増したこともあり、2019年の2520億ドルから2370億ドルに増加したと集計。2020年を通して3000億ドルに達するとの予想も示されている。(QUICK Market Eyes 大野弘貴)
<金融用語>
ESG投資とは
SRI(社会的責任投資)とCSR(企業の社会的責任)を発展的に統合した考え方。頭文字はE(環境、Environment)、S(社会、Social)、G(企業統治・ガバナンス、Governance)をそれぞれ意味する。世界が貧富の格差問題、ボーダーレス化する地球環境問題や企業経営のグローバル化に伴う様々な課題に直面する中で、企業への投資は、短期的ではなく長期的な収益向上の観点とともに、持続可能となるような国際社会づくりに貢献するESGの視点を重視して行うのが望ましいとの見解を国連が提唱した。その結果、ESGの視点で投資を行う金融機関が欧米を中心に広がっている。