11月の米大統領選の勝敗がすんなり判明せず、市場が混乱するーー。こう予想する外国為替市場の関係者が多いことが、QUICKと日経ヴェリタスが実施した共同調査で分かった。米大統領選の結果判明時期を聞いたところ、「選挙人による投票日(12月14日)まで」(33%)など、結果が明らかになるまで1週間以上かかると予想する回答が6割弱に達した。先行きの不透明感につながり、円高になるとの見方が多かった。
今回の選挙は郵便による投票が増加する。開票に数日以上の時間がかかるため、民主党支持者に多いとされる郵便投票の分だけ当日の投票が減れば、速報段階ではトランプ大統領が有利となる。みずほ総合研究所の安井明彦・欧米調査部長は「トランプ氏が当日に勝利宣言し、その後の開票の不正や無効票を主張して争う可能性がある」と予想する。
バイデン前副大統領は優位に選挙戦を進めてきた。バイデン氏が大統領選を制し、上院選で民主党が勝つとの予想は37%と、4通りの組み合わせ中で最も多かった。上院選で共和党が勝つとの予想も含めると「バイデン氏勝利」予想は59%で、56%だった8月の調査より増えた。「トランプ氏勝利」は合計39%で、8月(43%)を下回った。
争う余地がないほどバイデン氏がリードすれば早期に決着するが、僅差なら結果判明に時間がかかる。2000年の米大統領選は12月前半までもつれた。
結果が1週間以上決まらない場合の外為相場への影響を聞いたところ「2~3%程度の小幅な円高ドル安」が55%と半数を超えた。「5%以上の円高ドル安」も10%あった。
オフィスFUKAYAコンサルティングの深谷幸司代表は「結果をめぐる混乱はリスクオフの円高要因だが、同時にドルも選好されやすく上値は限られる」とみていた。
調査は5~7日に実施し、金融機関や事業会社の外為担当者など87人が回答した。
※QUICKでは株式、債券、外為の市場関係者を対象に、景気や相場動向についての月次アンケートを実施しています。それぞれの調査結果の詳細は、QUICKの様々な金融情報端末・サービスで公表しています。