【QUICK Money World 吉田 晃宗】前週(10月19日~10月23日)を象徴するチャートを振り返ることで、世界経済の動向をチェックする。
■銅価格と中国GDP
国際商品市場で銅先物が上昇。10月21日のロンドン金属取引所(LME)では3カ月先物の終値が1トン6991.5ドルと、連日で2年4カ月ぶりの高値を付けた(解説記事はこちら)。これまでは新型コロナウイルスの感染拡大による鉱山稼働停止で供給制約が生じ、銅価格を下支えしていたが、直近は中国経済の回復を背景に上昇基調にある。
中国国家統計局が19日発表した2020年7~9月の国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除いた実質で前年同期比4.9%増えた。事前の市場予想(5.2%)を下回ったものの、2四半期連続のプラス成長となった。銅価格上昇に対して、市場では「中国をはじめとした世界経済の回復加速を反映している可能性が高い」との見方が多い。
※中国GDP
■米住宅市場指数
米住宅市場は活況を呈している。全米住宅建設業協会(NAHB)が19日発表した10月の住宅市場指数は85と、統計開始以来の最高値を2カ月連続で更新した。全米不動産協会(NAR)が22日発表した9月の中古住宅販売件数は、季節調整済みの年率換算で前月比9.4%増の654万戸と、こちらも4か月連続増加し、2006年5月以来、14年ぶりの高水準となった。20日に発表された米住宅着工件数も好調。
第一生命経済研究所の藤代宏一氏は23日付のレポートで、中古住宅の販売件数について「驚異的な伸び」と指摘。住宅ローン金利が歴史的低水準に低下するなか、「テレワークの進展等からアパートから戸建て住宅へのシフトが続いており戸建て市場は活況を呈している」と指摘する。一方、活況を受けて販売価格が大幅上昇し、販売可能戸数(在庫)が前年比で2割近く減るなど、手頃な物件は枯渇しつつあることから、「先行きは供給制約によって販売件数が頭打ちとなる可能性もある」とみていた。
■トルコの政策金利とトルコリラ相場
トルコ中央銀行は10月22日、すでに金融の大幅な引き締めを達成したとして、市場予想に反して政策金利の現状維持を決めた(解説記事はこちら)。トルコ中銀は政策金利の1週間物レポ金利を年10.25%で据え置くと発表したが、市場では2%程度の利上げが予想されていた。9月の利上げがサプライズだったとして、インフレ抑制への取り組みが進むと期待していた市場参加者の失望を招き、リラの対ドル相場は最安値を更新した。