【日経QUICKニュース(NQN) 西野瑞希】外国為替市場でユーロの先行きに暗雲が漂っている。欧州における新型コロナウイルスの感染拡大が域内景気の回復にブレーキをかけ始めているためだ。26日にドイツのIfo経済研究所が発表した10月のドイツ企業の景況感指数は6カ月ぶりに悪化した。コロナ禍からの景気持ち直しが鈍り、欧州中央銀行(ECB)は29日の理事会で追加緩和を示唆する可能性も出てきた。ユーロの上値を抑えそうだ。
■再びコロナが冷やす
日本時間26日17時時点で1ユーロ=1.183ドル台にあったユーロは、欧州の取引時間帯に入り1.18ドルちょうど近辺まで売られた。Ifo景況感指数の悪化だけでなく、欧州ソフトウエア最大手である独SAPが業績予想を下方修正したのも域内景気の先行き不透明感を強めた。コロナ禍が経済のデジタル化を加速させてSAPの業績は堅調と見方があっただけに、投資家の不安は増幅した。
10月のドイツの企業景況感指数(総合指数)は前月比0.5ポイント低下の92.7だった。コロナの感染拡大によるユーロ域内の外出規制で4月に75.2まで低下したこの指数は、9月時点で急落直前である2月の97%の水準まで戻していた。だが、ここにきて感染が急拡大し、業況回復が息切れしてきた。
総合指数は「現況指数」と「期待指数」で構成され、10月は半年後の見通しを示す期待指数の低下が響いた。野村証券で欧州通貨などを担当する外為アナリスト、春井真也氏は「景気減速のリスクが高まった」とみる。
23日発表の10月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI、速報値)は、製造業とサービス業を合わせた総合指数が49.4と前月から低下していた。サービス業の業況悪化が目立った。欧州ではコロナの感染急拡大で再び外出や店舗営業の規制を強める国も出ている。ドイツでも制限措置の導入を週内に決定する見通しと伝わるなど、経済活動を制限する動きは広がりつつある。
■上値重い展開は年明けまで
ECBが追加の金融緩和を議論するとの観測も浮上している。野村の春井氏は「今回の理事会は、四半期経済見通しを発表する12月の理事会における政策変更への地ならしの会合になりそうだ」と予想する。追加緩和観測が広がれば、ユーロには売りが増えそうだ。
仏系ソシエテ・ジェネラル銀行の鈴木恭輔・為替資金営業部長は「足元の経済状況がハードデータ(実績値)として数字に表れてくるのは来年の1月頃。そこまで、悪化した指標の発表が続けばユーロの上値の重さは年明けまで続く可能性がある」とみていた。
8月以降、欧州当局による景気刺激策への期待を支えに1ユーロ=1.16~1.19ドルの範囲で値持ちの良かったユーロだが、売り材料は増えている。投資家が運用リスク回避に傾くと、近ごろは円だけでなくドルにも買いが増え、結果としてユーロの弱さは目立ちやすくなる。ユーロの上値は重くなりそうだ。