【日経QUICKニュース(NQN) 秋山文人】 レーザーテック(6920)は30日、2020年7~9月期決算は連結純利益が前年同期の3.2倍の31億円だったと発表した。市場予想の平均であるQUICKコンセンサス(8月27日時点、4社)の16億円を大きく上回った。先端の半導体製造技術「EUV(極端紫外線)」関連の検査装置の受注が拡大している。21年6月期は好発進と市場は評価している。
7~9月期の売上高は2.4倍の131億円、営業利益は3.2倍の45億円だった。いずれも市場予想を大幅に上回る。半導体関連装置の受注高は前年同期の2.6倍の228億円に拡大。期初の年間計画(700億円)に対して3割を超えており、計画を上回る進捗率となった。
※レーザーテックの業績推移(21年6月期は会社予想)
■5GやDX追い風
足元ではEUV関連の投資が加速している。台湾積体電路製造(TSMC)が本格的にEUV技術を使用するなど、検査装置の需要に広がりが見え始めている。オランダのEUV露光装置メーカー、ASMLが好決算だったことや、HOYA(7741)が手掛ける半導体ウエハーに回路を描く際の原版「マスクブランクス」の販売が好調なことから、レーザーテクにも恩恵が向かうとの見方が広がっていた。その期待に応えた、との声が挙がっている。
岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは「(次世代通信規格)『5G』やDX(デジタルトランスフォーメーション)が追い風となっていることが確認できた。受注もしっかり入っており、いいスタートが切れた」と指摘する。
株価は7月10日に上場来高値の1万1750円を付けた後、伸び悩んでいる。好業績への期待を追い風に上昇気流に再び乗れるかが焦点だ。