【QUICK Market Eyes 大野 弘貴、池谷 信久】米大統領選の投開票が進んでいる。これまでと違い郵便投票や期日前投票のウエートが高く、また現職のトランプ氏の動きが読みにくいため投資家は次の一手も見出しにくい。どういったシナリオが考えられるのか。
■どちらが勝っても明確な結果があれば株高に=エバコア
エバコアISIは3日付リポートで、同社が行った最新のサーベイによると、「投資家のコンセンサスはバイデン元副大統領の勝利と、共和党が上院の過半数の議席を獲得する」との結果を公表した。また、回答者の88%が大統領選の結果が1週間以内に判明すると見込んでいるもよう。
エバコアは当該サーベイを受けて、「投資家予想通りであるならば、我々はリスク資産の買い手に回る。トランプ大統領、バイデン元副大統領のいずれかが勝利しても、明確な結果があればボラティリティは低下し、低リスク資産が買われてきたこれまでの巻き戻しが発生する」との見方を示した。
エバコアはほとんどのシナリオで米株の上昇を見込んだが、唯一、大統領選の結果が長期にわたって判明しない場合、「リスク資産に打撃を与えるだろう」とも指摘している。
■「米大統領選の注目的と市場への影響」=みずほ証券
今回の米大統領選は郵便投票の割合が多く、本日中に大勢が判明しない可能性も高い。みずほ証券の丹治倫敦氏は4日のレポートで「東京時間のうちから市場が結果を織り込んで動くとすれば、主に郵便投票を行う支持者が相対的に多いとみられるバイデン候補が、早い段階で優勢であると報じられた場合」だと述べている。
その上で「比較的投票締切時間が早く、かつトランプ氏有利とされているジョージア州やオハイオ州などでバイデン氏が優勢と報じられれば、早期にバイデン氏圧勝シナリオを市場が意識する可能性がある」と指摘した。
日本時間10時に投票が締め切られる注目のペンシルベニア州は、郵便投票の受付期間が長いため、郵便投票の集計が十分でない初期にはトランプ氏に有利な数字が出ると予想されている。丹治氏は「逆に言えば、この時点で明確にバイデン氏が優勢であると報じられれば、やはりバイデン氏圧勝の可能性が高まる」と述べている。
市場への影響としては、バイデン氏が圧勝となれば「政治的混乱が長期化するリスクが剥落する形でひとまずリスクオン(金利上昇)に反応する」と予想。ただし、「バイデン氏の政策は本質的には株価に対してネガティブな面が強く、中期的なスパンで見た場合のリスクオンの継続性には疑問を挟む余地がある」とも述べている。
また、一部報道されているようにトランプ氏が一方的に勝利宣言をする場合、「たとえその後郵便投票でバイデン氏が逆転しても、トランプ氏が法廷闘争へ持ち込むリスクなどが強く意識されるとみられ、リスクオフ(金利低下)が進む」可能性があると指摘した。