「ひふみ投信」などを保有する投資家の運用状況が改善している。運用会社のレオス・キャピタルワークスによると、同社が直接販売する「ひふみ投信」と「ひふみワールド」の顧客のうち98.3%は9月末時点の運用損益がプラスだった。コロナショック下にあった3月末時点の28.7%から大きく好転した。
レオスが5日に公表した「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」で判明した。金融庁が2018年に導入した共通KPI(成果指標)は、投信の販売会社がそれぞれ毎年3月末基準で運用損益別の顧客割合や預かり資産上位投信のコストとリスク、リターンを開示している。レオスは運用状況の「見える化」を進めるため、今年から9月末時点の指標も公表することにした。
集計対象は直販の「ひふみ投信」と「ひふみワールド」の2ファンドのみ。それぞれの運用成績をみると、主に国内株式で運用する「ひふみ投信」の年初来リターン(10日時点)は13.8%のプラス、日本を除く海外の株式で運用する「ひふみワールド」の年初来リターン(同日時点)は15.3%のプラスだった。
両ファンドともコロナショックにより今年3月に基準価額が大きく下落したが、相場急落前に現金比率を高めておいたことが功を奏し、その後はリターンを伸ばした。どちらも11月に入ってそれぞれの設定来高値を更新している。レオスが公表した口座開設年ごとの損益状況をみると、2020年に開設したばかりで運用期間が短い口座でも95%は損益がプラスだった。
「ひふみ投信」に多くの資金が流れ込んだ17年に開設した口座では、損益がプラスの割合が98%にのぼる。好成績を受けて利益を確定する動きも出ており、「ひふみ投信」は年初から10日時点までの推計で約150億円が流出した。幅広い金融機関で販売している「ひふみプラス」も同期間に1650億円程度の資金が流出した。一方、「ひふみワールド」には60億円近い資金が流入している。
(QUICK資産運用研究所=西本ゆき、西田玲子)
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