米連邦準備理事会(FRB)が11月9日に公表した2020年10月の上級銀行貸出担当者調査(SLOOS:Senior Loan Officer Opinion Survey)では、4~6月期に過去最高水準まで厳格化していた米銀の融資姿勢が7~9月期に緩和方向へと反転したことが示された。新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)などの行動規制が5月後半から解除され始め、米経済の再開が勢いづいた時期にあたる。
製造業を中心に景況感が回復する一方、サービス業の先行きには不透明感が強く商業用不動産融資に対する厳格さ(貸し出しへ慎重さ)は高水準のままだった(緑線)。他方、大・中規模企業向け融資や個人向け融資への貸出姿勢は緩和方向へと反転した。住宅ローンを中心に個人の資金需要が旺盛な中で、個人向け融資の代表格である消費者信用(クレジットカード)への融資姿勢は大きく緩和されたことが特徴的だ(赤線)。背景には製造業などの雇用情勢の改善がある。雇用関連統計の改善基調が続くようだと、住宅市況の好調さが個人消費を、引いては米経済全体を下支えするという構図が持続できそうだ。
(QUICK Market Eyes 丹下智博)