11月は国内外で株式相場が上昇した。11月24日に米ダウ工業株30種平均が史上初めて3万ドルの大台を超えるなど、米主要3株価指数はそろって過去最高値を更新。同27日には日経平均株価が29年ぶりの高値水準をつけた。米大統領選挙でバイデン氏の勝利がほぼ確定したことや、新型コロナウイルスへの有効性が高いワクチンの発表などが株高の背景にある。
相場環境の改善を受けて、投資信託の運用も全般に好調だった。投資信託の11月の月間運用成績をランキングにしたところ、リターン上位には先進国株式型(QUICK独自の分類)のほか、日経平均株価に連動するインデックス型のファンドが多く並んだ。
■首位の「グローバルAI」、テスラ株など組み入れ
ランキングの対象は国内公募追加型株式投資信託(ETFを除く)のうち、11月末時点の純資産総額(残高)が1000億円以上のファンドに絞った。1カ月リターン(分配金再投資ベース)が最も高かったのは、三井住友DSアセットマネジメントが運用する「グローバルAIファンド」のプラス18.9%だった(図表参照)。3カ月リターンでも21.7%と上位10本中最も好成績だった。
同ファンドは世界の株式のうち、人工知能(AI)の進化や応用により高い成長が期待できる企業に投資する。月次レポート(10月30日時点)によると、米国への投資が89.0%と最大で、組み入れ銘柄数は65。組み入れ1位は米動画配信機器のロク(ROKU)、2位は自動運転を手掛ける米テスラ(TSLA)、3位は米画像・写真共有アプリのスナップ(SNAP)と続いた。
ファンドレポート(11月27日公開)によると、2020年8~10月の3カ月間でパフォーマンスへの寄与度が最も高かったのはスナップ、次点でテスラだった。マザーファンドの運用を実質的に担当するアリアンツGIのファンドマネジャーのセバスチャン・トーマス氏は、新型コロナ感染拡大を受けて広がるデジタルトランスフォーメーション(DX)強化の動きに言及し、「DXによる顧客サービスの強化にはAIの活用が不可欠」とした。
■「イノベーティブ・フューチャー」の1年リターンは100%超
1カ月リターン上位10本のうち、7位の「グローバル・プロスペクティブ・ファンド(愛称:イノベーティブ・フューチャー)」は1年リターンが最も高いプラス104.6%だった。日興アセットマネジメントが運用するファンドで、世界の株式のうち、劇的な生産性向上や急激なコスト低下などの「破壊的イノベーション」を起こしうる企業に投資する。
昨年6月に設定された比較的新しいファンドだが、12月1日には純資産総額(残高)が7000億円を突破し、国内公募追加型株式投資信託(ETFを除く)で3番目の大きさとなった。同ファンドの設定来のパフォーマンス(19年6月28日~20年10月16日)への寄与度が最も高かったのはテスラで、全体の約4割を占めた。
8~10位には日経平均株価に連動するインデックス(指数連動)型が3本ランクインした。1カ月リターンは同指数への連動を目指しているため3本とも日経平均株価の上昇に合わせて15%程度のプラスだった。
(QUICK資産運用研究所=西本ゆき、西田玲子)