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日銀ETF買い10年、保有比率2割超の銘柄も続々

記事公開日 2020/12/10 12:00 最終更新日 2021/3/9 16:19 日本株 海外投資家 国内景気 新型コロナウイルス 外国人 日銀 ETF NQNセレクト

日銀

【日経QUICKニュース(NQN) 田中俊行】日銀が2010年、各国・地域の中銀としては異例の措置となる上場投資信託(ETF)購入を開始して間もなく10年を迎える。当初は年4500億円だった購入額は次第に膨れ上がり、現在は保有残高を年約12兆円に相当するペースで増やす方針を掲げている。巨額のETF購入が長期間続き、日銀は何度も政策を調整してきた。新型コロナウイルスという新たな脅威の出現で一段の長期化が避けられない状況だ。

■流通株枯渇リスク

日銀はリスク性金融商品投資の際の期待収益分を示す「リスクプレミアム」の縮小を目的にETF購入を開始。その後、ETFの保有残高は右肩上がりで増え、QUICKによる11月末時点の試算(時価)では約44兆7700億円に達した。市場では年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を超え、最大の日本株保有者となったとの見方もある。

日銀の市場での存在感の高まりとともに、「日銀の株式保有比率の高い銘柄の流動性が低下し、市場の価格調整機能も阻害される」といった副作用を指摘する声も増えていった。ETF購入の終わりが見えないなか、日銀は長期戦に備えて技術的な調整にも動いた。

16年7月にはETFの年間購入ペースを6兆円にほぼ倍増したが、その約2カ月後には銘柄ごとの購入限度額を変更。日経平均株価に連動するETFの買い入れ比率をそれまでの約50%から落とし、東証株価指数(TOPIX)連動型の買い入れ比率を引き上げた。18年8月にはTOPIX型の比重を一段と高めた。

調整に動いたのは、日経平均の組み入れ比率が高い銘柄の日銀保有分が増えたためだ。日経平均の算出方法は、浮動株比率を考慮した時価総額の加重平均型の株価指数であるTOPIXと異なる。浮動株比率が20%のファーストリテイリング(9983)などを間接的とはいえ多額に購入する状況が続けば、流通株の枯渇を招く――。こうした見方が調整を促したとみられている。

ETF購入10年の節目を目前に控えた今年初頭、新型コロナウイルスが世界を襲った。足元で日経平均は約29年ぶりの高値圏で推移するが、日銀を含めた主要国・地域の大規模な金融緩和が生み出した「不況下の株高」の様相が強く、ETF買いのさらなる長期化は避けられそうにない。

■どうなる出口戦略

QUICKのデータによると、日銀がETFを通じて間接的に保有する割合が高い銘柄はアドバンテスト(6857)やファストリ、TDK(6762)で、時価総額に対する保有比率はいずれも2割もしくはそれ以上だ。ETF購入額の7割超をTOPIX型に振り向けているとはいえ、日銀による購入が続けば個別株の保有比率はじりじりと上昇する。

ETF購入策を延命する技術的な調整としては、日経平均型のETF購入の停止が想定される。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「過去に買い入れ比率を見直した効果で、例えばファストリ株がETF買いにより枯渇するまで15年間の余裕がある」と指摘した上で、「個別銘柄の流動性を考えると全額をTOPIX型にシフトすべきだ」と話す。ただ東証の市場再編を巡る議論が進行中で、すぐに日銀が調整に動くとの見方は現時点で少ない。

次の10年を見据えると、出口戦略を巡る議論も俎上(そじょう)に上るはず。償還がないETFの保有削減策で有力視されるのが「一定期間売却できないルールを定め、ディスカウント価格で個人に譲渡する」(ニッセイ基礎研究所の井出氏)との手段だ。東海東京調査センターの仙石誠シニアエクイティマーケットアナリストは「譲渡されたETFの分配金への課税や相続税を非課税扱いとし、長期投資マインドが根付くような仕組みを整えれば『貯蓄から投資』を促すことができる」と語る。

ただ、政策目的で購入したETFを割安で一部の投資家に譲渡するというのは、国全体の視点で考えれば不公平との批判も出かねない。同様のケースとしては香港政府が1999年、相場を下支えする目的で購入した上場株を指数連動型の投資信託にして外部に売却した事例があるが、規模は数兆円と日銀と比較できないほど少額だった。相場の乱高下につながらない出口戦略は見いだせるか。日銀にとっては思案が続くことになりそうだ。

■日銀が間接保有する割合が大きい上位銘柄

コード 銘柄名 保有比率
6857 アドテスト 24.58
9983 ファストリ 20.29
6762 TDK 20
6976 太陽誘電 19.53
5707 東邦亜鉛 18.85
4704 トレンド 18.8
1721 コムシスHD 18.37
4021 日産化 18.37
6988 日東電 17.95
8035 東エレク 17.69
9766 コナミHD 16.96
6954 ファナック 15.66
6103 オークマ 15.65
6971 京セラ 15.18
9301 三菱倉 15.17
4543 テルモ 15.12
6645 オムロン 15.07
3105 日清紡HD 14.98
8253 クレセゾン 14.94
2801 キッコマン 14.91

出所)QUICK
注)日銀がETFを通じて保有しているとみられる金額の時価総額比で5%以上、かつ継続比較可能な約350社を対象。単位%、10月末時点。

■外国人が買った銘柄・売った銘柄は

日銀は金融政策の一環としてETFを購入している。投資家ではない政府系機関が株式市場でこれだけ、大きな存在となるのは、株価統制策をとっていた戦時中の1940年代前半や、アジア通貨危機時の1998年に香港政府が実施した株式市場介入を除くと類例がない。自らの経済合理性を追求しない中央銀行が株式市場に介入することで、民間投資家の行動に少なからず影響を与えている。

QUICKのデータを基に日銀がETFを通じて間接的に保有している割合が大きい銘柄について、日銀が量的・質的金融緩和を始める直前の2012年度末から19年度末までの外国人保有比率の変化幅をみたところ、安藤ハザマやアウトソーシング、ダイワボウホールディングス、三井住友建設、ソニーといった銘柄の保有比率の上昇が目立った。

一方、レオパレス21やアンリツ、キヤノン、クレディセゾン、ディー・エヌ・エーなどは保有比率が低下した。この間、自己資本利益率(ROE)が上昇した銘柄には海外マネーが流入し、低下した銘柄からは流出した傾向がうかがえる。ファストリなど日銀の保有割合が1割を超えるようなトップクラスの銘柄の低下も目立つ。

・外国人保有比率の上がった主な30社

コード 銘柄名 日銀保有比率 外国人の変化幅
1719 安藤ハザマ 5.04 36.93
4587 ペプドリ 5.04 27.24
2427 アウトソシン 5.43 27.02
3107 ダイワボHD 5.43 26.72
1821 三井住友建設 5.82 24.45
6758 ソニー 7.59 24.12
8595 ジャフコG 5.27 23.4
9107 川崎汽 5.63 23.14
6361 荏原 9.09 22.55
7164 全国保証 5.04 21.81
1893 五洋建 5.43 21.63
6135 牧野フ 5.27 21.44
2201 森永 5.43 21.24
2181 パーソルHD 5.04 21.14
4911 資生堂 11.18 20.99
6479 ミネベア 10.09 20.98
6383 ダイフク 5.04 20.11
1808 長谷工 6.36 20
6789 ロランドDG 5.27 19.96
6440 JUKI 5.27 19.5
7956 ピジョン 6.59 18.56
4577 ダイト 5.27 18.17
9501 東電HD 5.75 17.65
9048 名鉄 5.1 17.61
4912 ライオン 5.43 17.59
2206 グリコ 5.04 17.53
5232 住友大阪 10.17 17.11
8020 兼松 5.43 17.05
6390 加藤製 5.27 16.98
2127 日本M&A 5.43 16.78

・外国人保有比率の下がった主な30社

コード 銘柄名 日銀保有比率 外国人の変化幅
3673 ブロドリーフ 5.63 ▲54.37
8848 レオパレス 5.98 ▲25.74
6754 アンリツ 5.27 ▲22.02
7751 キヤノン 6.89 ▲18.84
8253 クレセゾン 14.94 ▲18.76
8601 大和 6.99 ▲17.91
2432 ディーエヌエ 8.46 ▲16.09
9024 西武HD 5.04 ▲15.84
4902 コニカミノル 9.39 ▲15.75
7272 ヤマハ発 10.72 ▲15.73
4704 トレンド 18.8 ▲15.04
7269 スズキ 9.09 ▲14.5
5301 東海カ 14.27 ▲12.09
7832 バンナムHD 14.77 ▲12.08
8830 住友不 9.99 ▲12.03
4544 HUグループ 5.27 ▲11.79
8591 オリックス 5.82 ▲11.13
6988 日東電 17.95 ▲10.91
4901 富士フイルム 8.08 ▲10.77
8304 あおぞら銀 7.89 ▲9.05
8035 東エレク 17.69 ▲8.76
9064 ヤマトHD 10.45 ▲8.73
1721 コムシスHD 18.37 ▲8.68
6645 オムロン 15.07 ▲8.66
9983 ファストリ 20.29 ▲8.47
3105 日清紡HD 14.98 ▲8.36
7846 パイロット 5.04 ▲8.26
5108 ブリヂストン 7.44 ▲8.03
8628 松井 10.38 ▲7.95
7270 SUBARU 7.63 ▲7.57

データの出所)QUICK
注)日銀がETFを通じて保有しているとみられる金額の時価総額比で5%以上、かつ継続比較可能な約350社を対象、10月末時点。外国人保有比率の変化幅は、2019年度末の保有比率から12年度末の保有比率を差し引いた。▲は減少、単位ポイント。

著者名

日経QUICKニュース(NQN) 田中 俊行


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