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シニア向けの分配型投信、コスト見合いの価値はあるか―楽しく増やす!「北澤式」資産運用術【31】

第5部 50歳からの安心運用術 ⑤ シニア向けの分配型投信、コスト見合いの価値はあるか

資産を運用しながら取り崩したいという、シニア世代を意識した金融商品がある。毎月や隔月にあらかじめ決めた分配金を払い出すタイプの投資信託だ。一見便利そうにみえるが、リターンが上がらなければ元本の取り崩しが加速してしまうのは、一般的な毎月分配型などと変わらない。運用実績のあるファンドを買って自分で定期的に必要額を取り崩す方が有利になるケースが多そうだ。

■無定見な高額分配金にタガ

「運用しながら取り崩す」とうたったシニア向け投信は、従来の毎月分配型に代わる商品として2018年に設定が相次いだ。高額の分配金を競い合い、元本を取り崩すファンドが相次いだ従来の毎月分配型とは異なり(連載第10回参照)、一定の利回りに相当する額か、一定額の分配金を継続的に払い出すことを目標に掲げている。決算の回数は年6回が主流で、大半は年金給付のない奇数月に分配金を支払う。

定率型の先陣を切った「野村ターゲットインカムファンド(年3%目標分配)<愛称:マイ・ロングライフ>」は年3%(信託報酬控除後)のリターンをめざし、年利回りが3%になる分配金の払い出しを目標にしたバランス型投信だ。

運用で資産寿命を延ばしつつ、安定的な分配金収入を提供するのが狙いで、18年5月以来、年6回の決算期ごとに50円の分配金を出してきた。足元での分配金利回り(直近の時価総額に占める過去1年の分配金総額の比率)は3.2%だ。もちろん運用の成果次第だが、目標リターンが達成できれば購入者は長期にわたって年金を補う収入が手に入る。

同シリーズの「野村ターゲットインカムファンド(年6%目標払出)」も目標リターンは3%だが、こちらは年6%程度の利回りを目標に分配金を出す。運用収益を超えて分配金を支払うため元本の取り崩しが前提になっており、基準価額が3000円以下になったら繰り上げ償還する。時間の経過とともに投資元本が減るため、手にする分配金も減っていくが、基準価額を確認しながらいつごろまで分配金の支払いが続きそうかを判断できる。

■おカネを払って資産を減らす?

このほか、一部には目標リターンを定めず、運用成績とは無関係に決算前の基準価額比で一定比率を払い出すというファンドもある。ただ、こうしたシニア向けファンドが定率または定額の分配金支払いをめざしている点は変わらない。一見すると「リスクを抑えた運用をしながら、資産を少しずつ取り崩して使っていく」という退職世代のニーズに見合っているようだが、果たして利用していいものだろうか。気にするべき点が2つある。

ひとつは期待通りのリターンを上げられるかどうかだ。設定から3年にも満たないファンドばかりで実力を評価できる段階ではないが、過去1年をみると想定通りの運用成績を上げているとはいえないファンドが少なくない。

例えば「One世界分散セレクト(Cコース)<愛称:100年ギフト>」は6%を目標リターンとして掲げ、年6回の決算期ごとに120円の分配金支払いをめざしているが、過去1年の年率リターンは1%程度にとどまった。それでも毎回120円の分配金を出しており、その原資は大半が運用益ではなく元本の取り崩しだ。

SBI世界高配当株プレミアム(ヘッジあり)15%<愛称:長生き人生>」は毎月の決算期ごとに基準価額の15%に相当する分配金の払い出しを目標としている。過去1年のリターンはマイナス4%と振るわないが、分配金は出し続けているため、分配金を払うための元本の取り崩しが加速している。

もともと払い出しの目標が15%とかなり高く、定期的な資産の取り崩しを優先したファンドではある。しかし、このまま運用の不振が続けば資産寿命は短くなるばかりで、投資家は自分の資産を目減りさせるためにおカネ(信託報酬)を払っていることになりかねない。

■「運用」「取り崩し」を分けて考える

もうひとつ、気にしなければならないのは信託報酬の水準だ。定率・定額の分配金を出すタイプには信託報酬が高めのファンドが多く、最も高い「ライフ・ジャーニー<愛称:最高の人生の描き方>①かしこく使うコース②充実して楽しむコース」や「人生100年応援ファンド<愛称:みらいストーリー>①おもいっきり受取②ちょっぴり受取」は1.971%となっている。

定率・定額分配型ファンド

仮に定率3%の引き出し型で信託報酬が1.971%の投信を1000万円買い、1年間に基準価額の変動がなかったとしよう。年間の保有コストは19万7100円で、分配金が目標通りに支払われたとすると受取額は30万円になる。この投信が年6回決算だとすると、1回に5万円(税引き前)の分配金を手に入れるため、3万円近い手数料を払うことになる。

もちろんこれは机上の計算で、信託報酬控除後の年率リターンが継続的に3%を上回れば、資産を減らすことなく長期にわたって年利回りが3%相当の分配金が安定的に手に入る。結局、定率・定額取り崩しのファンドも他の投信と同じで、どれだけ安定的にリターンを上げられるかという運用力がファンド評価の最大の基準になる。

定率・定額取り崩しのファンドは、「資産寿命を延ばすための運用」と「毎月または隔月に一定率か一定額の資産を引き出す」という2つのサービスを組み合わせた商品だ。それが高めな信託報酬の理由なのかもしれない。リターンをもたらすファンドであることが前提になるが、自分でファンドを選ぶのも投信を定期的に解約するのも面倒だという人は、多少のコスト高には目をつむり、定率・定額取り崩しの投信を買うのも一つの方法ではあるだろう。

一方、ちょっとした手間を惜しまないなら「運用」と「資産の取り崩し」は分けて考えた方がいい。運用は低リスク・低コストで運用実績のあるバランス型などから選び(連載第15回参照)、その投信を時々の資産状況などをみながら定期的に自分で解約するという方法だ(連載第30回参照)。その方が運用効率は高く、コストも安くなるケースが多いはずだ。

繰り返しになるが、定率・定額取り崩し型の投信はいずれも設定から3年足らずで、まだ実力は定まっていない。利用するかどうかは、仕組みをしっかり理解するとともに運用力をよく見極めたうえで判断してほしい。(QUICK Money World=北澤千秋)

著者名

QUICK Money World 北澤 千秋


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